吹奏楽の名曲、人気曲、吹奏楽コンクール課題曲編。今回は「ストーリ型課題曲」の名曲、『天馬の道~吹奏楽のために』 をご紹介します。
『天馬の道~吹奏楽のために』はいつの課題曲?
作曲者は片岡寛晶(Hiroaki Kataoka)、平成20年度(2008年) 第56回 全日本吹奏楽コンクールの課題曲Ⅳです。
ちなみにこの年のその他の課題曲は、
Ⅰ 『ブライアンの休日』(内藤淳一)
Ⅱ マーチ「晴天の風」(糸谷良)
Ⅲ 『セリオーソ』(浦田健次郎)
V 『火の断章』(井澗昌樹)
というラインナップです。この年の朝日賞の『ブライアンの休日』も好きな曲ではありますが、この年では断トツの名曲がこの『天馬の道~吹奏楽のために』だと思っています。
『天馬の道~吹奏楽のために』はどんな曲?
この曲のテーマは「天馬」、翼の生えた想像上の動物、ペガサスです。天帝(神)の乗る馬という意味もあるそうです。
次々にメロディーやテンポが変遷するこの曲は、様々な想像をかきたてる、いわば「ストーリー型課題曲」です。その他の「ストーリー型」課題曲と言えば、2011年『天国の島』、2013年『勇者のマズルカ』、2014年『最果ての城のゼビア』、2015年『天空の旅 -吹奏楽のための譚詩-』などが挙げられます。
冒頭、荘厳な大聖堂での天馬の目覚めでしょうか、木管楽器による緊張感のあるメロディーで始まります。
この冒頭、「まさに課題曲」と言える出だし。音程、タイミング、ニュアンスなど、気にしなければならないことがたくさん、そして、バンドの力量がいきなり試されます。このような「冒頭が勝負を分ける曲」は、課題曲らしくて、個人的には大好きです。
メロディーは低音⇒金管へと受け渡されながら進みます。その後、メロディーは変化、木管楽器のフーガの後、ホルンとサックスのメロディーを合図に、スピードアップ。いよいよ天馬の飛び立ち(想像)です。木管楽器を中心としたメロディーに金管楽器の、相槌、裏メロが曲を盛り上げます。
その後テンポがスローダウン。ここでも木管楽器がメロディーを担います。フルートソロの後、木管全体にメロディーが戻り、Tuttiに。
その後は、再度テンポの速いメロディーに戻り、最後は金管楽器の華やかなファンファーレで終曲を迎えます。が、どこか完結、というよりは「次に続く」雰囲気を残す曲で、これまた自由曲が後に控えるコンクールの課題曲として秀逸な曲だな、と思ってしまいます。
木管楽器、金管楽器共に非常にメロディアスな曲ですが、この曲全体を通して、実は大きなポイントになるのが「打楽器」です。作曲者が打楽器専攻であることもあり、打楽器にはかなり細かい指示が書かれていますので、演奏する際は、是非打楽器の一音一音に拘ってみてください。
吹奏楽名門校による『天馬の道~吹奏楽のために』の名演~YOUTUBEで聴ける音源~
2008年と比較的近年の課題曲なので、ネットには様々な音源があります。私の一番のおすすめは吹奏楽の名門校、市立柏校による演奏です。ダイナミクスやフレーズの一体感が素晴らしくさすがの演奏です。
その他、同じ東関東の3強(柏・習志野・常総学院)の一角、常総学院の東関東大会の演奏動画もあります。こちらもすばらしい演奏ですが、この年は常総学院はダメ金で全国には出場できず。東関東大会のレベルの高さには脱帽です。
また、通常の参考音源の演奏もあります。参考音源なので当たり前ではありますが、柏高校と常総学院の演奏を聴いたあとだと、非常に淡泊に聴こえます。笑
『天馬の道~吹奏楽のために』の音源・CDはどこで手に入る?
作曲者の作品集に収録されており、amazonと楽天で購入できます。
またamazonと楽天で、東京佼成ウインドオーケストラの参考演奏CDが手に入ります。05年~08年の課題曲が収録されていますが、この3年のオススメ曲は
06年:『海へ… 吹奏楽の為に』
08年:『ブライアンの休日』
あたりです。
『天馬の道~吹奏楽のために』の楽譜はどこで手に入る?
吹奏楽連盟での楽譜の取り扱いが終了し、アレンジ譜なども出ていないようです。
どこかの出版社から販売されるのを期待したいですね。
さて、そんなわけで、『天馬の道~吹奏楽のために』を紹介してきました。吹奏楽コンクール課題曲ではありますが、演奏会のプログラムにもピッタリな曲です。個人的には1曲目、演奏会の構成によっては2曲目でもハマるかなと思います。是非演奏してみてくださいね!
※『天馬の道~吹奏楽のために』もランクイン!歴代課題曲ランキングベスト10も是非ご覧ください(・∀・)!