『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』~相反する心の内を映し出す吹奏楽曲~

ウインドオーケストラのためのマインドスケープ

吹奏楽の名曲シリーズ。

今回は、高昌帥作曲の『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』をご紹介します。

『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』はどんな曲?

作品概要

タイトル:ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(Mindscape for Wind Orchestra)

作曲:高 昌帥(こう ちゃんす)

演奏時間:約16分

グレード:5

メーカー:ブレーンミュージック(Brain Music)

作曲者について

高 昌帥は、大阪府出身の作曲家、指揮者です。

室内楽から管弦楽まで幅広いジャンルの作品を手掛けていて、国内外の複数の作曲コンクールで入賞しています。

プロ・アマ問わず数多くの委嘱を受け、吹奏楽作品を作曲しています。

ほかに『吹奏楽の為の風景詩「陽が昇るとき」』『ウインドオーケストラのためのバラッド』などの作品があります。

『吹奏楽のためのラメント』は第50回全日本吹奏楽コンクール(2002年)の課題曲になりました

高昌帥の代表曲

『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』は高昌帥の代表曲で、とても人気の高い作品です。

A-Winds 奈良アマチュアウィンドオーケストラの委嘱を受けて2005年に作曲され、作曲者本人の指揮で初演されています。

また、平成20年度JBA下谷奨励賞を受賞しています。

心のうちの激しさと静かさ

タイトルは「心象風景」といった意味で、人の心の内側を描いた曲。

前半は激しさを、後半は穏やかさを表現しています。

フルで演奏すると技術的に非常に難しい楽曲ですが、カット次第では難易度を調整でき、吹奏楽コンクール自由曲として挑戦している中学校も多数あります。

また、抽象的な題材なので、バンドで話し合ってイメージを膨らませるといいかもしれませんね。

『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』、曲の流れとポイントは?

冒頭2分ほど、打楽器のアンサンブルが続きます。

マリンバのソロ。ビブラフォンやサスペンドシンバルを弦楽器の弓でこする音、銅鑼やウインドチャイムなどが幻想的な雰囲気を作り出します。

高らかなトランペットとチャイムの音で雰囲気が変わります。

低音から始まる12/8拍子からはリズムが複雑になってきます。

緊張感のある木管のかけあい、荒々しさを感じる全合奏、多くのフレーズが次々登場し、激しく混沌とした音楽が続きます。

しかしその混沌もやがて落ち着いていき、バスーンのソロ、クラリネットを契機に静まります。

後半は、クラリネットと鍵盤のゆったりと静かなセクションから始まります。

憂いのある物寂しいメロディーがしばらく続いたあと、オーボエとバスーンのソリが温かいメロディーを奏でます。

金管も少しずつ加わって次第に盛り上がり、感動的な音楽へと昇華していきます。

また短いオーボエのソロがあり、再び消え入りそうな木管と鍵盤のセクション。

そしてピアノと木管のあたたかく優しいメロディーに、ホルンとバスーンが少し不穏な合いの手を入れ、静かになっていきます。

このまま終わると思われた曲は、ラスト15秒で雰囲気が一転、再び激しくなって、最後は低音と打楽器の重々しい3音で幕を閉じます。

『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』~YOUTUBEで聴ける音源~

フルバージョンの演奏で筆者のおすすめはこの動画。

全体的にテンポは少し速いのかなと思いますが、さすがのレベルの高さです。

CMが途中で入らないのがありがたいです。

柏市立酒井根中学校とともにこの曲で金賞を受賞し、コンクール自由曲としてのブームを作った演奏。

6分15秒と短い時間にまとめた大胆なカットで聴きごたえのある演奏になっています。

創価グロリアは、2013年と2019年の2回、『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』で全国金に輝いています。

荒れ狂う前半を乱れず迫力たっぷりに、後半は豊かで美しく感動的に、どっしりしたラストまで素晴らしい名演です。

最後の一音をアレンジして華やかに終わらせる団体が多い中、原曲通りに演奏している点も吹奏楽愛好家に評価されています。

『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』の音源・CDはどこで手に入る?

上方ウィンズ
『粋 -Sui-』ウインドオーケストラのためのマインドスケープ

ワコーレコード
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プロフェッショナル吹奏楽団、上方ウィンズのデビューアルバム。

グレード6の『スリー・ワシントン・スタチュー』をはじめ、難曲に意欲的に取り組んでいる一枚です。

◆収録曲
1. オーバチュア 5リングス/三枝 成彰
2. プレリュードとカプリッチオ/アルフレッド・リード
3. スリー・ワシントン・スタチュー/フィリップ・スパーク
4. 吹奏楽のための式典行進曲「炎の輪」/フランク・エリクソン
5. ハロルドの摩天楼/朴 守賢
6. ピードモント・フェスティバル序曲 Op.171/ロバート・シェルドン 
7. 吹奏楽のためのアパッショナート/ヴァーツラフ・ネリベル
8. フォー・ザ・プレジデンツ・オウン/ジョン・ウィリアムズ
9. ウインドオーケストラのためのマインドスケープ/高 昌帥
10. ストームチェイサーズ Op.47/ロバート・シェルドン

ほかにも以下のCDがあります。

JPT
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ポニーキャニオン
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『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』の楽譜はどこで手に入る?

ブレーンのオンラインショップで購入することができます。

https://www.brain-shop.net/shop/g/gYDOK-C08/

 

技術的にはもちろん、表現を作り上げるという面でも難易度の高い『ウインドオーケストラのためのマインドスケープ』。

ですが、この曲への挑戦はきっとバンドのレベルアップに繋がるはずです。

 

参考サイト:

吹奏楽研究所 - 【吹奏楽名曲紹介】ウィンドオーケストラのためのマインドスケープ (高 昌帥)

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