『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』~美しいメロディーを集めた吹奏楽曲~

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』~美しいメロディーを集めた吹奏楽曲~

吹奏楽の名曲シリーズ。

今回は、フランツ・レハール作曲、鈴木英史編曲の『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』をご紹介します。

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』はどんな曲?

作品概要

タイトル:『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』( Selections from an Operetta in 3 Acts “Das Land des Lächelns” 

作曲家:フランツ・レハール( Franz Lehár )

編曲者:鈴木英史

演奏時間:約8分

グレード:3

出版:ブレーンミュージック( Brain Music )

作曲家フランツ・レハール

フランツ・レハールはオーストリア=ハンガリー生まれの作曲家です。

同じく吹奏楽作品としても愛される代表作『メリーウィドウ』のほか、人気オペレッタを多数作曲したことで有名です。

『喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション』〜明るく楽しいオペレッタを吹奏楽で再現〜

2021.07.15

それまでのオペレッタといえば、悲劇を扱うオペラとは違い、喜劇的な内容でハッピーエンドの作品がほとんどでした。

しかし、レハールの後期のオペレッタ作品では、笑いをおりまぜつつもシリアスな展開を見せたり悲劇的な結末になったりと、独自の路線を採用していきます。

また、国際性豊かなストーリー、情緒的で美しいメロディーはレハール作品の特徴です。

余談ですが、レハールは妻がユダヤ人でしたが、ドイツの統治下時代にもナチス党政権の庇護を受けていました。

これは、ヒトラーが『メリー・ウィドウ』を好きだったという理由で、レハールはヒトラーに同曲の楽譜も贈っていたのだとか。

オペレッタ「微笑みの国」のストーリー

オペレッタ「微笑みの国」は、あまり人気の出なかったレハール自身の「黄色い上着」というオペレッタを作り直し、成功をおさめています。

舞台は1912年のウィーン。

美しい伯爵令嬢のリーザは人気者で、幼馴染のグスタフ中尉にも求婚されますが、彼女は中国の外交官スー・チョンに想いを寄せています。

あるとき、スー・チョンが急遽国に帰ることとなり、リーザとスーはお互いの気持ちを告白しあい、リーザは中国へとついていくことを決めます。

異国の地での生活に馴染もうと頑張るリーザ。

しかし、中国皇帝になったスーは、国のしきたりにより4人の女性と結婚することになります。

それを知ったリーザは傷つき、「形式上の結婚だ」と言う夫の言葉も響かず、望郷の念にとらわれます。

一方、外交官として中国にやってきたグスタフは、スーの妹のミーと恋に落ちます。

リーザの気持ちを知ったグスタフとミーは、リーザの逃亡を手伝います。

皇帝スーに見つかってしまいますが、リーザの固い決意を聞いたスーは、グスタフにリーザを連れ帰ることを頼みます。

別れを悲しみ涙を流す妹ミーを、スーは「悲しみも微笑みの下に隠すのだ」と言って慰めるのでした。

吹奏楽への編曲

編曲は、数々のクラシックや歌劇の編曲作品がある鈴木英史氏。

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』の編曲は、玉川学園中学部吹奏楽部の顧問、土屋和彦氏の発案だったそうです。

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』、曲の流れとポイントは?

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』には、原作のオペレッタから「序曲」「中国風バレエ」「蒼い塔のサロンでは」「婚礼の行列の音楽」 「君こそ我が心」といった曲が使われています。

聴かせどころは冒頭の「序曲」と終盤の「君こそ我が心」です

曲は美しいホルンのソロで始まります。抒情的なメロディーは他の楽器に引き継がれ、やがて壮大に歌い上げられます。

序曲が終わるとテンポアップし、ウッドブロックに導かれて明るく軽やかな音楽が展開します。

東洋の異国情緒を感じる場面が続き、式典のようなラッパが鳴り響き、落ち着くと、サックスソリの甘やかな旋律が聴こえてきます。

鍵盤楽器がきれいなハーモニーを奏でたあとは、クラリネットが「君こそ我が心」を穏やかに奏します。

金管が加わってさらに切々と歌い上げられ、ラストはクレッシェンドで盛り上がり、感動的なフィナーレを迎えます。

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』~YOUTUBEで聴ける音源~

陸上自衛隊中央音楽隊

大編成版

小編成版

出版社ブレーンのチャンネルが配信している参考音源です。

堂々としたソロや細やかなティンパニのロールに目を奪われた動画。

コメントにもありますが、テンポにメリハリがつくともっと素敵な演奏になると思いました。

オペレッタ「微笑みの国」

実際のオペラを観てみたい方はこちらをどうぞ!

0:35~ミーの「青い塔のサロンでは」、1:19~スーチョンの「君こそ我が心」を聴いてみてくださいね。

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』の音源・CDはどこで手に入る?

ニュー・アレンジ・コレクション Vol.3 喜歌劇「微笑みの国」セレクション/陸上自衛隊中央音楽隊

歌劇やクラシックの名曲が邦人作家により吹奏楽にアレンジされた楽曲が集められています。

陸上自衛隊中央音楽隊の演奏が堪能できる、ボリューム満点の7曲です。

■収録曲
[1] 喜歌劇「微笑みの国」セレクション/フランツ・レハール(編曲:鈴木英史)
「クープランの墓」より/モーリス・ラヴェル(編曲:天野正道)
[2] 1.前奏曲
[3] 5.メヌエット
[4] 6.トッカータ
[5] 歌劇「トスカ」より 歌に生き、恋に生き/ジャコモ・プッチーニ(編曲:塩崎美幸)
「異国」より/モーリッツ・モシュコウスキ(編曲:福島弘和)
[6] 1.ロシア
[7] 2.ドイツ
[8] 3.スペイン
[9] 4.ポーランド
[10] 5.イタリア
[11] 6.ハンガリー
[12] 「弦楽合奏のセレナード」より/ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(編曲:後藤洋)
小組曲「子供の遊び」/ジョルジュ・ビゼー(編曲:仲田守)
[13] 1.ラッパと太鼓(行進曲)
[14] 2.お人形(子守歌)
[15] 3.こま回し(即興曲)
[16] 4.小さい旦那さんと小さい奥さん(二重奏)
[17] 5.舞踏会(ガロップ)
[18] 歌劇「グヴェンドリーヌ」序曲/エマニュエル・シャブリエ(編曲:建部知弘)

『バベルの塔』 秋山和慶&大阪市音楽団

Octavia Exton
¥2,790 (2025/04/02 18:00:40時点 Amazon調べ-詳細)

2006年11月の定期演奏会の演奏をライブレコーディングしたCD。

歌劇作品、聖書や小説、歴史や歌曲をモチーフにした作品、ストーリー性のある楽曲ばかりを集めたプログラムが楽しい一枚です。

■収録曲
・レハール/鈴木英史編:喜歌劇『微笑みの国』セレクション
・広瀬勇人:バベルの塔(本邦初演)
・樽屋雅徳:マゼランの未知なる大陸への挑戦
・R.シュトラウス/酒井格編:歌劇『ばらの騎士』組曲
・チェザリーニ:ハックルベリー・フィン組曲 作品33
・R.シュトラウス/フェネル編:万霊節
・ヴァンデルロースト:アルセナール

他に、フィルハーモニック・ウインズ大阪の「小編成レパートリー・コレクション Vol.10『聖(セント)エルモの火』」や、東海大学付属高輪台高等学校の「スパイラル・レジェンド」にも収録されています。

また、『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』は入っていませんが、鈴木英史氏がアレンジした楽曲を集めた、「鈴木英史 吹奏楽の世界」というシリーズのCDもおすすめです。

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』の楽譜はどこで手に入る?

『喜歌劇「微笑みの国」セレクション』の楽譜は、ブレーンオンラインショップなどで購入できます。

大編成版
https://www.brain-shop.net/shop/g/gYDAL-A03/

小編成版
https://www.brain-shop.net/shop/g/gYDAL-A08/

 

原曲であるオペレッタに物語があるので、イメージをつかみやすく、表現も作りやすい楽曲です。

難易度もそれほど高くないので、ぜひ学生の皆さんにトライしてもらいたい一曲です。

素敵なメロディーが詰まっているドラマティックな曲なので、楽しんで演奏してみてください!

 

参考URL:

ブレーンオンラインショップ  喜歌劇「微笑みの国」セレクション【小編成版】
https://www.brain-shop.net/shop/g/gYDAL-A08/

Wikipedia  微笑みの国
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E7%AC%91%E3%81%BF%E3%81%AE%E5%9B%BD

ハンナ  ほほえみの国[全3幕]レハール作曲
https://www.chopin.co.jp/media/opera217/a2139

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