吹奏楽の名曲シリーズ。
今回は、フィリップ・スパーク作曲の『ウィークエンド・イン・ニューヨーク(A Weekend in New York)』をご紹介します。
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』はどんな曲?
作品概要
タイトル:ウィークエンド・イン・ニューヨーク(A Weekend in New York)
作曲者:フィリップ・スパーク(Philip Sparke)
演奏時間:約7分40秒
グレード:5
出版社:アングロ・ミュージック(Anglo Music)
フィリップ・スパークについて
フィリップ・スパークは、1951年生まれのイギリスの作曲家です。
世界中で愛されているスパークの作品、筆者ももちろん大好きで、このブログでもたくさんの楽曲を紹介しています。
『ドラゴンの年(The Year of The Dragon)』
日本が東日本大震災で被災した際には、『陽はまた昇る』を復興支援のために発表するなど、親日家としても知られています。
ニューヨークの街や空気感、そこに流れる音楽を表現した曲
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』は、アメリカ陸軍野戦部隊軍楽隊のトーマス・パルマティア大佐からの委嘱で作曲されました。
スパークが、初めて訪れたニューヨークの街に対する驚きと感動を曲にしたものです。
マンハッタンの風景、昼の喧騒、ジャズが流れる夜のバーなどの様子が描かれ、その情景が目に浮かぶようです。
その合間には、スパークらしい伸びやかな旋律も聴くことができます。
聴いても演奏しても楽しい、親しみやすくエンターテイメント性の高い作品になっています。
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』、曲の流れとポイントは?
冒頭はエネルギッシュで華やかなファンファーレ。
この部分は、スパークがマンハッタンで感じた興奮を表現しようとしたそうです。
続いて、ドラムやビブラフォンを従え、アルトサックスのソロが先導するブルースのシーン。
たっぷりとしたテンポ感で、雰囲気あるメロディーをしっとりと聴かせます。
バンド全体でブルースが演奏されると、一気にテンポアップ。ニューヨークの昼の喧騒が現れます。
賑やかでわくわくするような曲調が進んでいき、シロフォンやウッドブロックの木の音も軽やかに、ニューヨークの街の活気を演出します。
合間には、スパークらしい伸びやかな旋律と豊かなハーモニーも聴くことができます。
そこへ、サックスソロによるジャズが流れてきます。ジャズクラブから通りへと、音楽が流れ出しているのです。
ここでは、スパークのトロンボーン協奏曲から短いテーマが引用されています。
ジャズクラブを通り過ぎると、再び街中の活気ある音楽へと戻ります。
前半で披露されたブルースが再現され、最後はスピードアップしてオープニングのメロディーを繰り返し、一気呵成に終わります。
テーマやストーリー性がはっきりしてイメージを作りやすいですが、難易度は高いので技術力は要求されます。
ソロが多く聴かせどころが複数あるのもポイントですね。
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』~YOUTUBEで聴ける音源~
アンサンブルリベルテ吹奏楽団
コンクール全国金賞を15大会連続で獲り続けている、超実力派アマチュアバンドの川金アンサンブルリベルテ吹奏楽団。
申し分ない演奏に加え、カメラワークが素晴らしいです。
ソロやソリ、パーカッションなど、その時一番見たいパートが映るのが嬉しいです。
八代白百合学園高等学校
2010年の吹奏楽コンクール、全国大会に出場した演奏です。
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』で全国大会に進んだのは2025年現在まででわずか5団体。
強弱の効かせ方が本当にうまくて、技術力・表現力ともにレベルの高い演奏です。
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』の音源・CDはどこで手に入る?
スパーク!スパーク!!スパーク!!!
スパーク本人を客演指揮に迎えた、2014年1月のシエナ・ウインド・オーケストラのコンサート。
その音源がCDになったものです。
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』をはじめ、『オリエント急行』、『陽はまた昇る』、そして『宇宙の音楽』と人気作品を詰め込んだ、スパーク尽くしの一枚。
◆収録曲
Disc 1
1.陽はまた昇る
2.オリエント急行
3.エンジェルズ・ゲートの日の出
4.ウィークエンド・イン・ニューヨーク
5.メリーゴーランド
6.宇宙の音楽
7.サンダーバード ※アンコール演奏
Disc 2
1-3.≪ダイアモンド・コンチェルト≫ユーフォニアム協奏曲 第3番
4.パントマイム(抜粋版)※アンコール演奏
『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』の楽譜はどこで手に入る?
ブレーンなどの各出版社のほか、楽天市場でも購入することができます。
ブレーンオンラインショップ ウィークエンド・イン・ニューヨーク/フィリップ・スパーク【吹奏楽輸入楽譜】
ニューヨークの街中にいるような気分になれる『ウィークエンド・イン・ニューヨーク』。
難易度は高めですが、聴いても演奏しても楽しいこの一曲に、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
参考サイト:
フィリップ・スパークのホームページ(英語サイト) - A Weekend in New York
https://www.philipsparke.com/a-weekend-in-new-york