吹奏楽の名曲シリーズ。
今回は、福島弘和作曲の『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』をご紹介します。
『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』はどんな曲?
作品概要
タイトル:シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」
作曲家:福島弘和
演奏時間:約9分
グレード:5
出版:ブレーンミュージック (Brain Music)
大人気の邦人作曲家
日本の吹奏楽界をけん引する大人気作曲家、福島弘和さん。
『ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~』、『稲穂の波』、『百年祭』などの代表曲があります。
吹奏楽コンクール課題曲も3曲手がけているという活躍ぶり(2023年時点)。
難易度は幅広く、曲調の多彩さも特徴のひとつです。
春日部共栄2曲目の委嘱作品
委嘱曲を数多く作曲している福島さん。
有名な『ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~』は埼玉の強豪校、春日部共栄高等学校吹奏楽部の委嘱曲です。
そして、今回ご紹介する『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』も、同じく春日部共栄の委嘱作品。
「ラッキードラゴン」の翌年、2010年に作曲されました。
この曲の解説において福島さんは、
「2009年の同校委嘱作品の「ラッキードラゴン」に引き続き作曲させていただくにあたり、標題音楽ではない、純粋な器楽曲を目指して作りました」
と話しています。
吹奏楽コンクール自由曲としても人気になり、2022年までに、2010年の委嘱元の春日部共栄高等学校、2011年の愛知工業大学名電高等学校、2012年の柏市立酒井根中学校が全国金を受賞しています。
難曲だがやりがいたっぷり
抽象的な音楽であること、前半は重苦しい雰囲気なこと、そして何より難曲であることがあり、誰もが取り組みやすい曲とは言えなそうです。
一方で、後半徐々に明るくなっていく過程はカタルシスを感じ、鳥肌が立つような感動も生まれます。
この曲を吹きこなせたら達成感があるでしょうし、個人としても楽団としてもきっとレベルアップできると思います。
『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』、曲の流れとポイントは?
冒頭、幻想的なチャイムとビブラフォンの音が響きます。
オーボエが神秘的なソロを吹き、ハープ、イングリッシュホルン、そして木管が絡み合っていきます。
次第に厚くなるハーモニーは、練習番号Aの金管のメロディーで一度山場を迎えます。
低音の効いたどっしりした音楽の裏で、木管は細かい連符が続きます。
piu mossodeではベースが四分音符を刻み、次第に盛り上がったあと、
練習番号Cからは、木管から半音で上昇していくメロディーが暗い印象の音楽を作ります。
Con motoでテンポを上げ激しさを増しつつ、不穏な雰囲気をまといながら、曲は進みます。
木管・金管・打楽器それぞれが動き回り、躍動感のあるセクション。
Calmandoで静まると、イングリッシュホルンとオーボエの短いかけあいのあと、
チャイムの鳴る中、きれいなフルートのソロが奏されます。
メロディーに少しずつ明るさや希望の色が出てきて、穏やかで美しいハーモニーが奏でられます。
Con brioで8分の6拍子になると、木管が明るい、芽吹きのようなメロディーを歌います。
全体で同じリズムを刻みながら盛り上がっていき、Mではたしかな明るいメロディーが聴こえてきます。
最後のBrillanteでは、木管は華やかに、金管は煌びやかに鳴り響き、一気に終曲します。
『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』~YOUTUBEで聴ける音源~
春日部共栄高等学校吹奏楽部
委嘱元である、原点としての気概を感じる演奏。
この難しい曲をしっかりまとめ上げています。
バランスの良いハーモニー、迫力ある低音、中間部の躍動感あるパーカッションもかっこいい。
東海大学付属札幌高等学校
2021年の全国大会に出場した東海大学付属札幌高校。
こちらもすごく素敵な演奏!
木管がとてもきれいに聴こえて、私は繊細で気品のある演奏だと感じました。
『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』の音源・CDはどこで手に入る?
ええとこどり Vol.3 福島弘和 : シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」
『シンフォニエッタ 第2番「祈りの鐘」』がまだ新しい曲ということもあり、プロによる音源はまだそんなに多くありません。
フィルハーモニック・ウインズ大阪の演奏がお手本にできるのは嬉しい!
■収録曲
1. グレート・シティへの序曲:フィリップ・スパーク
2. ガラスの靴~シンデレラの物語~:ポール・ヨーダー
3. ミュージカル「ミス・サイゴン」より:クロード=ミッシェル・シェーンベルグ(arr. 宍倉晃)
4.ハイブリッド・マーチ: 後藤洋
5. たなばた:酒井格
6. セドナ:スティーブン・ライニキー
7. ディプティック:ヤン・ヴァンデルロースト
8. シンフォニエッタ 第2番「祈りの鐘」:福島弘和
9. メトリックス:ロバート・シェルドン
【演奏】
フィルハーモニック・ウインズ 大阪
木村吉宏(指揮)
スパイラル・ハーツ
2013年に発売された、東海大付属高輪台の演奏。
東海大付属高輪台といえば、近年、毎年福島さんに楽曲を委嘱しています。
今回のCDに収録されているのは、高輪台の委嘱作品ではありませんが、福島作品が4曲!
前年にコンクール自由曲で演奏した『フェスティヴァル・ヴァリエーション』、そのほか委嘱曲も盛り込んだ選曲。
■収録曲
—セッションレコーディング—
[1] フェスティヴァル・ヴァリエーション (クロード・T・スミス)
[2] マーチ「カタロニアの栄光」 (間宮芳生)
[3] ラッキードラゴン ~第五福竜丸の記憶 (福島弘和)
[4] カシュカシュ (石毛里佳)
[5] 3年後の君たちへ (内藤友樹)
[6] 百年祭 (福島弘和)
[7] アルヴァマー序曲 (ジェイムズ・バーンズ)
—ライブレコーディング—
[8] スパイラル・ハーツ (鈴木英史)
[9] シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」 (福島弘和)
[10] アイヌ民謡「イヨマンテ」の主題による変奏曲 (福島弘和)
【演奏】
畠田貴生(指揮)
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部
『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』の楽譜はどこで手に入る?
『シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」』の楽譜は、出版社ブレーンで取り扱っています。
https://www.brain-shop.net/shop/g/gYDOH-E18/
筆者は最初は少しとらえどころのない曲だと感じましたが、何度も聴くうちにその美しさと深みに心を奪われました。
ぜひたくさんのバンドにチャレンジしてみてほしい、一押しの名曲です。
参考URL:
FiestaWindSymphony ー 【No.40】シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」
https://fiesta-wind.com/no-40/