吹奏楽コンクール伝説の名演シリーズ。
今回は2005年(第53回)全日本吹奏楽コンクール全国大会での、精華女子高校の自由曲、C・Tスミス作曲『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』です。
指揮は藤重佳久先生。
精華女子高校吹奏楽部とは
九州支部随一の実力校であり、女子校吹奏楽部の代表格であり、高校吹奏楽界のトップに君臨する吹奏楽部の一つである「精華女子高校吹奏楽部」。
1990年の初出場から全国大会に21回出場、金賞受賞はその半分を越える12回(2017年コンクール終了時点更新)、マーチングにおいても屈指の強豪校で、2017年大会まで19回連続出場し、全ての回で金賞受賞という、とてつもない実績を誇ります。
精華女子高校の教師でもある藤重佳久先生も有名です。2014年度の定年退職まで精華女子を指導の後、2015年度からは同じ九州、長崎の活水高校へ。前年は吹奏楽コンクールに出場すらしていなかった吹奏楽部をいきなり全国大会出場へ導くという離れ業をやってのけます(笑)
精華女子高校は、「熱血!ブラバン少女」のCDや舞台作品でも知られ、日本で随一の知名度を誇る吹奏楽部と言えるでしょう。
精華女子の魅力が詰まった伝説の名演『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』(05年)
それでは、演奏をご紹介します!
精華女子高校と言えば、C.T.スミスの楽曲の演奏で有名で、『華麗なる舞曲』やフェスバリこと『フェスティヴァル・ヴァリエーション』の演奏も非常に有名ですが、『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』こそが、最も精華女子の魅力が詰まった演奏だと思っています。
『華麗なる舞曲』・『フェスティヴァル・ヴァリエーション』同様、『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』は、特に金管のパワフルさがこれでもかという程に圧倒的に求められる曲です。
しかしながら『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』が前述の2曲と異なる点は、パワーだけではなく、綺麗なコラールや中間部での「歌い」が要求される点。
すなわちパワー一辺倒ではダメ。パワフルさと、繊細さを両方を兼ね備えていなければこの曲で観客を感動させることはできません。
精華女子は女子校離れしたパワフルさと、女子校ならではの繊細さを併せ持つ、最強の吹奏楽部だと思っていますが、まさにその魅力を存分に発揮できる曲こそが、『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』なのです。
なお精華女子高校は、この年以外にも2012年に同じ曲で全国大会金賞を受賞していて、そちらも素晴らしい演奏なのですが、個人的には2005年の演奏の方がより名演だと思っています。
さて、その2005年の演奏ですが、、冒頭の金管のトランペットのファンファーレからの中低音の重厚な響き。冒頭からもう圧倒的に引き込まれてしまいます。
そして、コラール。冒頭のパワフルさから一転、音程もフレーズ感もぴったりの、鳥肌もののサウンドです。
この曲を吹いたことのある方ならわかるかと思いますが、このコラールのメロディー中の最高音が非常に難しく、木管高音域の楽器がこの音だけ飛び出て聴こえないよう、繊細にかつ音程ピッタリで合わせるのは至難の業ですが、精華女子はここも難なくクリアしています。
この曲はC.T.スミスの楽曲らしく、当然ホルンが劇的に難しいですが(笑)、パワフルな咆哮以外に、中間部前にゆっくりとしたテンポで、ハモらなければいけない部分がありますが、精華女子の上手さはここでも際立っています。
そしてこの曲の見せ所の一つが、後半部のトランペット2本のソロのフーガ。
よくもまあ、こんなスーパープレイヤーが2人も同世代の高校に存在するもんだなあ、と感心してしまいます(笑)
精華女子の演奏の素晴らしさは、最後まで全く息切れしないこと。
後半に次々と難所が待ち構える『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』においても最後までパワー全開。
最後の最後のホルン、畳みかけるトランペット。もう本当に感動しかありません。
精華女子高校の演奏CD・DVDはどこで手に入る?
今回ご紹介した演奏は、以下のCDに収録されています。
また、精華女子の「ブラバン少女シリーズ」は、吹奏楽界を越えて話題になりましたね。今回の演奏は入っていませんが、C.T.スミスの楽曲も含めて、名曲、名演が多数収録されています。
さて、というわけで、精華女子高校『ルイ・ブルジョアの讚美歌による変奏曲』(05年)を紹介してきました。
精華女子高校はその他にも沢山の名演がありますので、また、別の機会にご紹介できればと思っています(・∀・)!