吹奏楽の名曲シリーズ。
今回は、明るく親しみやすいメロディーが印象的で、中高生を中心に人気のある『セドナ(Sedona)』をご紹介します。
『セドナ』の作曲された経緯は?
『セドナ』の作曲者は、アメリカのスティーヴン・ライニキー(Steven Reineke)。
1970年生まれの作・編曲家で、特に吹奏楽曲の作曲者として知られています。
『セドナ』以外にも『鷲が舞うところ(Where Eagles Soar)』『ホープタウンの休日(Hopetown Holiday)』『神々の運命(Fate of the Gods)』あたりの吹奏楽曲が有名でしょうか。
ライニキーの曲は爽やかな曲調のものが多く、日本の中高生にはファンが多いようです。
ちなみにライニキー、かなりのイケメンです。
『セドナ』は、オハイオ州ケタリングの市民吹奏楽団から創団40周年を記念して委嘱を受け、2000年に作曲されました。
「セドナ」はアメリカアリゾナ州にある、実在する土地の名前です。
赤い岩山に囲まれた都市で、たくさんのパワースポットが点在しています。
ライニキーは、その雄大な自然と美しい景観から着想を得てこの曲を書いたそうです。
『セドナ』はどんな曲?
明るい曲調と爽やかで印象的な旋律が特徴であり、人気の秘訣でもある曲。
6分程度の演奏時間、演奏の難易度もそこまで高くなく、若々しくエネルギッシュな中高生が演奏するのにぴったりの曲です。
曲の構成は、典型的な序曲形式(急ー緩ー急)。
聴く側もわかりやすく、演奏する方も取り組みやすい構成ですね。
2拍で一気にクレッシェンドするスネアドラムソロで曲が始まります。
木管の軽快な主旋律、トランペットの伸びやかなファンファーレ。
ソロで聴かせる美しくゆったりした中間部を経て、再び最初の旋律に戻りクライマックスへ。
メロディーを奏でるパートが入れ替わっていくので、いろいろな楽器が主役になれる曲。
また、トロンボーン、クラリネット、フルートなどソロも随所に用意されています。
ホルンのグリッサンド、躍動感ある木管、対旋律も目立つので聴かせどころです。
ソロのあるスネアドラム、裏メロを演奏する木管と一緒に早いパッセージを動くシロフォン、クレッシェンドを作り上げるティンパニ、サスペンドシンバル、バスドラム、曲に彩りを添える小物楽器など、打楽器も大いに活躍します。
クレッシェンドを揃える、最初と再現部とで繰り返されるメロディラインを吹き分けることが演奏上のポイントでしょうか。
セドナの大自然がテーマのこの曲、自分なりに風景をイメージしながら演奏してみるのもいいですね。
疾走感のある「急」の部分、ゆったりと広がっていくような「緩」の部分。
あなたはそれぞれどんな景色を思い浮かべますか?
生き生きした演奏に注目!~YOUTUBEで聴ける音源~
現在、YOUTUBEでトップヒットする動画。バランスも良く、演奏の上手さも文句なしです。
演奏団体が明記されていないのが残念。
お次はおなじみWindsScoreによる演奏動画。
中間部をかなりゆっくりめに、ためてためて演奏しているため、6分半近い演奏時間に。
最後は、島根大学吹奏楽部の、2014年冬の定期演奏会での演奏。
ネット上にある『セドナ』の演奏動画は中高生によるものが大半な中、貴重な大学生による演奏動画です。さすが迫力がありますね。
難易度がそこまで高くない楽譜を高い演奏技量で演奏するというのもかっこいいと思います!
『セドナ』の音源・CDはどこで手に入る?
おすすめの1枚目は『ラッシュモア(RUSHMORE)』。
全16の吹奏楽曲が収録されたCD。ワシントン・ウインズの演奏です。
アメリカの吹奏楽譜の大手出版社「バーンハウス」から2000年に販売されたスコアの楽曲を詰め合わせた1枚です。
『美中の美』『キング・コットン』『ボギー大佐』『国民の象徴』など、マーチのラインナップが充実。
ワーグナー『ワルキューレの騎行』は、吹奏楽用に編曲されたもの。
表題作『ラッシュモア』は、アルフレッド・リード氏の作曲です。
2枚目は『BRN(14)決定版!!吹奏楽コンクール自由曲選集2001「天空への挑戦」』です。
コンクール自由曲にオススメの9曲が収録されていて、個人的に聴いていて楽しいラインナップです。
スパークの『新しい夜明けに(To A New Dawn)』は、筆者は『セドナ』と並んで思い入れのある曲です。
現在は流通しておらず中古のみですが、興味がある方はぜひ!
『セドナ』の楽譜はどこで手に入る?
各出版社のほか、Amazonや楽天市場でも購入することができます。
また、初級バンド向けのロブ・ロメイン編曲版もあります。
出版社によって価格にばらつきがあるので、購入の際は比較してみるといいかもしれません。
『セドナ』の魅力は伝わったでしょうか?
ぜひ、ライニキーの他の楽曲と合わせて、演奏会曲目の候補として検討してみてくださいね!