近年、コンクールや演奏会等、様々な吹奏楽シーンでその楽曲が人気、吹奏楽のヒットメーカーとも言える樽谷雅徳(たるやまさのり)さん。その樽谷雅徳の代表曲と言っても過言でもない『マゼランの未知なる大陸への挑戦』を紹介します。
作曲者、樽谷雅徳について
作曲者の樽谷雅徳さんは、現代の日本の吹奏楽シーンを語るのに絶対に外すことのできない作曲者の一人でしょう。1978年生まれ、武蔵野音楽大学音楽学部作曲学科を卒業、作曲家の他吹奏楽指導もしており、母校でもある銚子市立銚子高等学校吹奏楽部の指揮者・音楽監督を務めています。
『マゼランの未知なる大陸への挑戦』以外にも、
『民衆を導く自由の女神』
『マリアの七つの悲しみ』
『星の王子さま』
『トム・ティット・トット』
『乱世の神威 幸村』
『マードックからの最後の手紙』
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』
『白磁の月の輝宮夜』
『ノアの方舟』
『銀河鉄道の夜』
『絵のない絵本』
など様々な歴史や物語をテーマに多くのヒット曲を生み出しています。その中でも『マゼランの未知なる大陸への挑戦』は最も人気がある曲の一つです。
曲のテーマ「マゼラン」って?
テーマとなっているのは、大航海時代に活躍したポルトガルの冒険家「フェルディナンド・マゼラン」です。最近の歴史の教科書ですと「マガリャンイス」なんて習った人もいるかもしれません。
彼の功績は「人類初の世界一周」、ヨーロッパからの西回りの航路を開拓し、彼が発見した南アメリカ大陸南端は「マゼラン海峡」と名付けられています。ただ実は、彼自身は世界一周の途中のフィリピンで戦死しており、残された艦隊が世界一周を成し遂げています。
この曲は、『マゼランの未知なる大陸への挑戦』は史実をベースにしているものの、「もしマゼランの魂が現世に残り、世界一周を続けたなら・・・(※参照)」と未知なるマゼランの航海をイメージして作りあげた1曲だそうです。
参照:http://www.cafua.com/products/detail518.html
『マゼランの未知なる大陸への挑戦』はどんな曲?
この曲の魅力、そして人気の秘密はなんといっても「キャッチーなメロディー」と言えます。各シーンにおいて、非常に親しみやすく演奏するのも、聴くのもとても楽しい一曲です。
冒頭、不安な航海を予想するかのような出だしから、大海原の荒波がイメージされる冒頭なスピーディーな展開へ。その後一度静かになり、曲後半に登場するテーマが奏でられます。
その後、たどり着いた島での一シーンでしょうか、民謡をベースにしたようなメロディーがクラリネットを中心とした楽器の細かな連符で演奏されます。この部分の指回しは中々のスピードで難易度が高く、木管楽器にとっては一つの山場と言えます。木管の連符に金管楽器が加わり、大きな盛り上がりをバンド全体で作っていきます。
そして、再度静寂が訪れます。その静寂の中、ピアノ伴奏に伴いトランペットのソロが奏でられます。曲名にもある「未知なる大陸を発見」がイメージされるこの部分はまさにこの曲の一番の聴きどころ。トランペットソロにいざなわれ、他の楽器が加わり、盛大かつ感動のフィナーレを迎えます。
この曲に限らずですが、樽谷雅徳の曲はフィナーレはゆったりとしたテンポのテュッティであることが多く、非常にバンドの力量が問われます。高速でなだれ込んで勢いでごまかすことができないため、タテ(タイミング)ヨコ(音程)、ダイナミックス、表現など様々な点に気を使う必要があります。
吹奏楽コンクールで演奏する場合は、樽谷雅徳作品のポイントは終盤と言えるかもしれません。
樽谷雅徳の最大のヒット曲をネット音源で~YOUTUBEで聴ける音源~
海上自衛隊音楽隊のライブ音源があります。航海の臨場感を感じてみてください。
『マゼランの未知なる大陸への挑戦』の音源・CDはどこで手に入る?
amazonと楽天で、樽谷雅徳作品集が購入可能です。『マードックからの最後の手紙』などその他の人気作品も収録されているので、とてもオススメです!
なお、amazonプライムで1曲購入も可能です!東京佼成ウインドの演奏なのは嬉しいですね。
『マゼランの未知なる大陸への挑戦』の楽譜はどこで手に入る?
樽谷雅徳については、楽譜は全てレンタルとなっています。以下より、レンタル可能です。
http://www.cafua.com/products/detail518.html
さて、そんなわけで、『マゼランの未知なる大陸への挑戦』を紹介してきました。吹いていてもとてもテンションの上がる曲、まだ演奏したことのない方は是非演奏を検討してみてくださいね。
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