吹奏楽の名曲、人気曲、吹奏楽コンクール課題曲編。
今回は『架空の伝説のための前奏曲』 をご紹介します。
『架空の伝説のための前奏曲』はいつの課題曲?
作曲者は山内雅弘(Masahiro Yamauchi)。
平成18年度(2006年) 第54回 全日本吹奏楽コンクールの課題曲Ⅰ、第16回朝日作曲賞受賞曲です。
この年のその他の課題曲は、
Ⅱ 『吹奏楽のための一章』(堀内俊男)
Ⅲ 『パルセイション』(木下牧子)
Ⅳ 『海へ・・・吹奏楽の為に』(三澤慶)
Ⅴ 『風の密度』(金井勇)
というラインナップです。
この年の全国大会高等学校の部では、『架空の伝説のための前奏曲』を29校中18校も選択しています。
さらに、金賞受賞の9校中6校が演奏しています。
人気曲でもあり、力のあるバンドの能力を発揮しやすい曲でもあります。
作曲者の山内雅弘さんは、様々なジャンルの作品を手掛けている
山内雅弘さんは、吹奏楽曲以外にも、管弦楽や室内楽、さらには電子音楽やゲーム主題歌など、幅広いジャンルの作品を手掛けています。
『架空の伝説のための前奏曲』は、山内雅弘さんにとって初の吹奏楽オリジナル作品でした。
それまでは管弦楽曲や合奏曲の作曲に熱心に取り組んでいたそう。
そんな中、日本テレビの「笑ってコラえて」の「吹奏楽の旅」コーナーで映る吹奏楽部員たちに触発され、自分の吹奏楽時代を思い出し、吹奏楽曲を手掛けようと思ったそうです。
『架空の伝説のための前奏曲』はどんな曲?
『架空の伝説のための前奏曲』は、ソリスティックな技量が必要でごまかしがきかないため、難易度の高い曲と言えます。
山内雅弘さん本人も、自身のHPにて「難易度については、課題曲公募に出してから難しくしすぎたかなと後悔」と記しています。
序奏は、クラリネットパートの日本的なメロディーで始まります。
ウッドブロックと音の出るタイミングをしっかり合わせたいところ。
ピッコロ&フルート、サックスと徐々に楽器が増え盛り上がり、前半部に入ります。
前半部は、序奏とは曲調もテンポもガラリと変わります。
軽快なトランペットのメロディー、木管楽器のメロディーとバトンタッチしていきます。
複数パートで16分音符を重ねていくので、タンギングの技量、そして縦をしっかり合わせることが重要になってきます。
中間部は、木管楽器の大らかなメロディー。金管楽器と木管楽器のバランスに気を付ける必要があります。
中間部が終わると、前半部の再現、展開を持ってクライマックスに向け盛り上がっていきます。
そして、低音金管のみのユニゾンで終曲します。
「前奏曲」という名の通り、「これから何か起こる」という予感を持たせたまま終わらせる作曲者の意図があります。
『架空の伝説のための前奏曲』~YouTubeで聴ける音源~
言わずと知れた強豪、柏高校。2006年も全国大会金賞を受賞しています。
その柏高校の演奏は、各場面の音色の切り替えが素晴らしいです。
中間部は木管楽器のメロディーだけでなく、裏メロディーの金管楽器も朗々と歌い上げられており、聴いていて感動がこみ上げます。
細かい音符の重なりも、一つ一つの音が粒だっていて完璧です。
こちらも全国大会金賞・名門埼玉栄高校の演奏です。
柏高校よりも全体的にテンポが速めです。各楽器が寸分の狂いなく加わっていく演奏は、とても格好良いです。
中間部はテンポを揺らして情緒たっぷり。プロ顔負けの演奏だと思います。
『架空の伝説のための前奏曲』の音源・CDはどこで手に入る?
東京佼成ウインドオーケストラの演奏CDが手に入ります。2005年~2008年の課題曲が収録されています。
『架空の伝説のための前奏曲』の楽譜はどこで手に入る?
現在は絶版となっており、オークションなどで購入するしかないようです。
『架空の伝説のための前奏曲』をご紹介しました。
各パートに見せ場があり、やりがいのある曲ですので、挑戦してみてはいかがでしょうか。