吹奏楽の名曲シリーズ。
今回は、樽屋雅徳作曲の『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』をご紹介します。
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』はどんな曲?
作品概要
タイトル:斐伊川(ひいがわ)に流るるクシナダ姫の涙
作曲家:樽屋雅徳
演奏時間:約8分半
グレード:4
出版:フォスターミュージック (Foster Music)
物語性のある楽曲を多数作っている樽屋雅徳さん
作曲者は、大人気の邦人作曲家、樽屋雅徳さんです。
タイタニック号を題材にした『マードックからの最後の手紙』、偉人マゼランの航海を曲にした『マゼランの未知なる大陸への挑戦』、フランス七月革命を描写した『民衆を導く自由の女神』など、物語性のある楽曲を多く作っています。
また、『想ひ麗し浄瑠璃姫の雫』や『天満月の夜に浮かぶオイサの恋』など、日本の物語を題材にした和風の楽曲も目をひきます。
題材になっている物語は?
この『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』も、日本の神話「ヤマタノオロチ伝説」から着想された楽曲です。
ヤマタノオロチ伝説のおはなしは、こんな内容です。
高天原を追放されて出雲に降り立ったスサノオは、泣いている老夫婦とその娘クシナダヒメに出会います。
老夫婦の8人の娘たちは、毎年やってくる巨大な怪物ヤマタノオロチに食べられてしまい、
最後の1人となるクシナダヒメももうすぐ生贄になってしまうということでした。
スサノオは老夫婦に、8つの門を作って強い酒を入れた8つの器を置いておくように指示し、クシナダヒメを安全のために櫛に変えて髪に差しました。
やってきたヤマタノオロチは、スサノオの読み通り、8つの頭でそれぞれの酒を飲んで酔いつぶれます。
その隙にスサノオはヤマタノオロチを切り刻んで退治し、クシナダヒメを妻としたのでした。
吹奏楽コンクールでは2023年、ついに全国へ
2013年以降、たくさんの団体が吹奏楽コンクールで『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』を演奏しています。
ピークの2018年には、100団体が県大会で演奏しました。
全国大会の壁は厚く、どの団体も支部大会出場どまりになっていましたが、2023年、福岡県立門司学園中学校がこの曲で全国大会に進出を決めています。
3種類の楽譜(中編成、小編成、2022年版)
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』は、中編成版、小編成版、そして大編成版(2022年版)という、3種類の楽譜が販売されています。
グレードや演奏時間も少しずつ異なっています。
詳しくはフォスターミュージックの解説ページをご参考ください。
「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙|樽屋雅徳」比較&解説! 中編成版・小編成版・大編成版(2022年版)
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』、曲の流れとポイントは?
ピアノとビブラフォンの繊細な調べによって、しっとりと曲が始まります。
フルートのソロに続いて、木管が切なげにテーマの旋律を吹きます。
そこに金管が加わり、物語の始まりにふさわしい壮大な音楽へと展開していきます。
弾むようなピアノと打楽器に導かれ、木管が素朴な旋律を吹きます。
トランペットのソロ、ホルン・ユーフォのソリを経て、音楽は広がります。
高い太鼓の一音を合図にサックスがソロを吹き、管楽器の深みのあるメロディーを小物打楽器が装飾します。
フルートが儚げな旋律を吹くと、音楽は一変、テンポをあげ勇ましい雰囲気に。
スサノオがヤマタノオロチと相対するシーンで、緊迫感ある音楽を打楽器が盛り上げます。
高音の細かいパッセージ、低音の力強いフレーズが掛け合います。
ゆったりとした音楽が戻ってきたかと思うと、再び音楽は激しくなり、それが静まると、今度こそ平穏が訪れます。
ピアノと木管、鍵盤楽器が優しいメロディーを奏でます。
金管が合流すると、今度は全体で堂々と雄大にテーマを再奏。
エンディングはまたテンポを上げ、スサノオの勇猛さを表すかのような雰囲気で終わります。
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』~YOUTUBEで聴ける音源~
フィルハーモニック・ウインズ 大阪
ゆったりした部分はもちろん、激しい部分もきちんとコントロールされた丁寧な音楽。
一音一音が大事にされ、しっかり揃っている。さすがオオサカン!な演奏です。
船橋市立高根中学校
中学生かつ小編成とは思えない迫力と熱量の高さに圧倒されました。
ソロプレイヤーの技術の高さ、雰囲気の出し方のうまさ。
パーカッションたちの実力、魅せ方、ひとつひとつの音にかける真剣さ。
そして全員が暗譜!感動の名演です。
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』の音源・CDはどこで手に入る?
熱血!ブラバン少女
2014年に発売された、福岡の強豪校である精華女子高等学校吹奏楽部のCDです。
『シンフォニア・フェスティーバ』や『グリーン・スリーヴス』などの高難度の楽曲がある一方、マーチング用の明るい楽曲も多数収録されています。
■収録曲
1.FESTIVAL VARIATIONS / クロード・T・スミス
2.オリンピック東京大会ファンファーレ / 今井光也
3.オリンピックマーチ / 古関裕而
4.OLYMPIADA / サミュエル・R.ヘイゾ
5.トランペット吹きの休日(Bugler’s Holiday) / ルロイ・アンダーソン
6.FUNNY SLIDES / ヴィム・ラセロムズ
7.SINFONIA FESTIVA(FANFARE) / アーン・ラニング
8.SINFONIA FESTIVA(ARIA)
9.SINFONIA FESTIVA(TOCCATA)
10.GREENSLEEVES / クロード・T・スミス
11.Landscapes / ロサーノ・ガランテ
12.斐伊川に流るるクシナダ姫の涙 / 樽谷雅徳
13.銀河の伝説 / 福島弘和
14.ARMENIAN DANCES ( PART I ) / アルフレッド・リード
15.Hang ‘Em High / ドミニク・フロンティア
16.THE LORD OF THE DANCE / ローナン・ハーディマン
17.Cheerio / エドウィン・フランコ・ゴールドマン
20人のコンクールレパートリー Vol.2: 雲海の詩
こちらは小編成の団体におすすめのCDです。
最少11人から演奏可能な作品を集めています。
演奏は実力派バンドの土気シビックウインドオーケストラ。
AmazonではMP3で購入、またはMusic Unlimitedで聴くことができます。
■収録曲
1.交響詩曲「西遊記」<小編成版> (福島弘和)
2.雲海の詩:1. 前奏曲 (高橋宏樹)
3.雲海の詩:2. 歌 (高橋宏樹)
4.雲海の詩:3. 舞曲 (高橋宏樹)
5.夢幻の如くなり (広瀬勇人)
6.ダウランド組曲:1. ご婦人用の見事な細工物 (ジョン・ダウランド / arr. 足立正)
7.ダウランド組曲:2. 流れよ、わが涙 (ジョン・ダウランド / arr. 足立正)
8.ダウランド組曲:3. あのひとは言い訳できるのか (ジョン・ダウランド / arr. 足立正)
9.吹奏楽のための「ランドスケープ」 (松下倫士)
10.アレグリア (樽屋雅徳)
11.幻花舞う (島田尚美)
12.パッチワーク・ヒルズ (石毛里佳)
13.ルーマニア民俗舞曲 (ベラ・バルトーク / arr. 佐藤博)
-1.棒踊り
14. 2.飾り帯の踊り
15. 3.踏み踊り
16. 4.角笛の踊り
17. 5.ルーマニア風ポルカ
18. 6.速い踊り – リステッソ・テンポ
19. 7.速い踊り – アレグロ・ヴィヴァーチェ
20.斐伊川に流るるクシナダ姫の涙<小編成版> (樽屋雅徳)
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』の楽譜はどこで手に入る?
『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』の楽譜は、フォスターミュージックにて取り扱っています。
斐伊川に流るるクシナダ姫の涙:樽屋雅徳 [吹奏楽中編成-レンタル譜]
中編成、小編成、2022年版それぞれのレンタル譜、そしてスコアの4種類があるので、ご注文の際はご確認ください。
切なく美しい旋律と激しいシーンとの対比が見事な『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』。
コンクールの自由曲、定期演奏会のプログラムとして、ぜひ検討してみてください。
参考URL:
フォスターミュージックオンラインショップ - 斐伊川に流るるクシナダ姫の涙:樽屋雅徳 [吹奏楽中編成-レンタル譜] https://www.fostermusic.jp/products/detail/6039
しまね観光ガイド ー 古事記の神話 ヤマタノオロチ<ヤマタノオロチ伝説>
https://www.kankou-shimane.com/shinwa/shinwa/3-0/index.html