『エルザの大聖堂への行列』~絶大な人気を誇る美しく神聖な吹奏楽曲~

『エルザの大聖堂への行列』~絶大な人気を誇る美しく神聖な吹奏楽曲~

吹奏楽の名曲シリーズ。

今回は、リヒャルト・ワーグナー作曲の歌劇から生まれた吹奏楽曲、『エルザの大聖堂への行列(Elsa’s Procession to the Cathedral)』をご紹介します。

『エルザの大聖堂への行列』はどんな曲?

作品概要

タイトル:エルザの大聖堂への行列(Elsa’s Procession to the Cathedral)

作曲者:リヒャルト・ワーグナー (Richard Wagner)

演奏時間:約6分

グレード:4

出版:アルフレッド・パブリッシング(Alfred Publishing)

※『エルザの大聖堂への行列』は複数の編曲があります。

こちらは最もメジャーなルシアン・カイリエ版(Lucien Caillet)の情報です。

ワーグナーの有名なオペラの一幕

『エルザの大聖堂への行列』は、ワーグナーの有名なオペラ「ローエングリン」の中で演奏される一曲です。

作曲者のヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(ドイツ)は「楽劇王」の別名を持ち、ロマン派オペラの頂点として名を残しています。

オペラ「ローエングリン」は、悲劇的な結末を迎えるストーリーではありますが、ロマンチックな内容と美しい音楽で、長く愛されているオペラです。

『エルザの大聖堂への行列』は、オペラ第2幕、ブラバンド国の公女エルザが、騎士ローエングリンとの結婚式のために人々とともに大聖堂へと赴くシーンの曲です

原曲のオペラではオーケストラに合唱が加わります。歌詞は人々がエルザの結婚を祝福し、幸せを願うもの。

余談ですが、かの有名な「結婚行進曲」も、このワーグナーの「ローエングリン」に原曲があります。

また、「ローエングリン」の吹奏楽編曲では「第3幕への変奏曲」も有名です。

以上の3曲をメドレーのように演奏する団体も。

歌劇「ローエングリン」のストーリー

ブラバント公国の先代王の娘であるエルザは、公国の実権を握ろうとするテルラムントと、その妻であり魔女であるオルトルートの企みにより、弟殺しの罪を着せられそうになっていました。

そこへ、エルザが夢に見た騎士ローエングリンが、白鳥のひく小舟に乗って現れます。

ローエングリンはテルラムントとの決闘に勝ち、エルザの冤罪を晴らします。

エルザとローエングリンは結婚をしますが、エルザは事前の約束を破り、騎士に素性を聞いてしまいます。

騎士は正体を明かし、再び小舟で去っていきます。白鳥に姿を変えられていた弟のゴットフリートが元の姿に戻り、魔法を破られた魔女オルトルートは倒れます。

エルザはローエングリンが去ってしまった悲しみのあまり、弟の腕の中で息絶えます。

『エルザの大聖堂への行列』、曲の流れとポイントは?

曲は静かで美しいフルートのソロから始まります。

木管楽器のアンサンブルは神聖で、かつ明るく澄み渡った雰囲気です。

オーボエ、クラリネットソロを挟み、ゆったりと、粛々と曲が進みます。

後半になるとそれまで木管の下支えをしていたかのような金管が、情熱的に鳴り始めます。

金管、低音の厚みのある裏旋律がたまりません!

管楽器が徐々にクレッシェンド、打楽器も加わって盛り上がり、最後は荘厳なエンディングで幕をとじます。

クラリネットをはじめ木管楽器が活躍するこの曲は、出番の少ない金管や打楽器にとっては時に睡魔との戦いを余儀なくされることもありますが(笑)、柔らかで静謐な雰囲気もこの曲の魅力。

エルザと白鳥の騎士の幸せを願う、その気持ちを音楽にのせてホールに響かせたいですね。

『エルザの大聖堂への行列』~YOUTUBEで聴ける音源~

シエナ・ウインド・オーケストラ

佐渡さんの魂をこめた指揮に心が震える動画。

個人的に、ハープの音がすごくキレイに聴こえるのがとってもポイント高いです。

『エルザの大聖堂への行列』の伝説的な演奏として語り継がれている、

1966年全日本吹奏楽コンクール全国1位の豊島十中の演奏です。

コメントにもあるようにピッチのずれもあるのですが、今から60年以上も前の演奏と思うと…

広々とした豊かな音楽に感服です。

『エルザの大聖堂への行列』の音源・CDはどこで手に入る?

青春吹奏楽

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あなたが学生時代に部活で演奏した曲もきっと入っているはず。

『アルヴァマー序曲』、『アルメニアン・ダンス パート1』、『宝島』、『ディスコ・キッド』、『たなばた』…

青春を象徴するような吹奏楽曲を詰め込んだデジタルアルバムです。

東京佼成ウインドオーケストラによるエルザはゆったりと美しく、音量のバランスがとてもいい演奏です。

BRASS&CHORUS 吹奏楽と合唱の祭典

エイベックス
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佐渡裕さんの指揮、シエナ・ウインド・オーケストラの演奏に合唱が加わったアルバム。

「旅立ちの日に」「大地讃頌」といった合唱曲が半分を占めていて、吹奏楽のアルバムとしては異色なのですが、合唱入りの『エルザの大聖堂への行列』は神々しく感動的です。

1曲目の《カルミナ・ブラーナ》より「おお、運命の女神よ」は、聴けばわかる超有名曲。

重苦しく厳かで鬼気迫る雰囲気、合唱が入ることで映える一曲です。

『エルザの大聖堂への行列』の楽譜はどこで手に入る?

ブレーンなどの出版社のほか、楽天市場でも購入することができます。

また、ルシアン・カイリエ版以外にも複数のアレンジが販売されていて、小編成で取り組める楽譜もありますので、興味のある方は調べてみてくださいね。

 

吹奏楽のクラシック作品として不動の人気を誇る『エルザの大聖堂への行列』。

演奏会のプログラムに変化を加える一曲、ぜひ一度取り組んでみてくださいね!

参考URL:

橋本音源堂 エルザの大聖堂への行列 -歌劇「ローエングリン」より
http://h-ongendo1964annex.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_216d.html

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