『バレエ音楽「青銅の騎士」より』~ロシアの幻想的都市にまつわる物語を吹奏楽で~

『バレエ音楽「青銅の騎士」』~ロシアの幻想的都市にまつわる物語を吹奏楽で~

吹奏楽の名曲シリーズ。

今回は、レインゴリト・グリエール作曲のバレエ音楽「青銅の騎士」よりTHE BRONZE HORSEMAN)』をご紹介します。

『バレエ音楽「青銅の騎士」より』はどんな曲?

『バレエ音楽「青銅の騎士」より』は吹奏楽でも人気曲で、複数の編曲があります。

森田一浩氏、林紀人氏、石津谷治法氏、仲田守氏といったアレンジャーによる編曲がよく使われています。

今回は市立習志野高校吹奏楽部の顧問の先生としても知られる石津谷治法さんの編曲について取り上げます。

作品概要

タイトル:『バレエ音楽「青銅の騎士」より』(THE BRONZE HORSEMAN)

作曲:レインゴリト・グリエール(Reinhold Moritzevich Glière)

編曲:石津谷治法(いしづやはるのり)

演奏時間:約10分

グレード:4

出版:フォスターミュージック

作曲家グリエールについて

バレエ音楽「青銅の騎士」の作曲者は、ウクライナ(当時はロシア帝国)生まれの作曲家レインゴリト・グリエールです。

バレエ音楽だけでなく、管弦楽や吹奏楽、弦楽器のソロ曲や協奏曲などを作曲しています。

音楽教師として、『ロミオとジュリエット』のプロコフィエフ、『ガイーヌ』のハチャトゥリアンらも育てています。

プーシキンの詩がモチーフ

バレエ「青銅の騎士」は、1949年に発表された全4幕8場のオペラ作品です。

モチーフになっているのは、ロシアの詩人アレクサンドル・プーシキンによって1832年に書かれた、同名の長編叙情詩。

ロシアの皇帝ピョートル一世によって建てられた都市ペテルブルクで、恋人パラーシャと幸せに暮らしていた主人公のエフゲニーは、洪水でその恋人を亡くしてしまいます。

エフゲニーの哀しみと怒りは、水難の絶えない土地にこの街を作ったピョートル大帝へと向かい、ついに気が狂ったエフゲニーは、ピョートル大帝の像である「青銅の騎士像」に戦いを挑む…というのが簡単なあらすじです。

YOUTUBEでバレエ作品の動画を見ることもできます。

『バレエ音楽「青銅の騎士」より』、曲の流れとポイントは?

グリエール作曲のバレエ組曲「青銅の騎士」は、全13曲で構成されています。

今回の記事で紹介する石津谷治法さんの編曲では、前半の曲である「元老院広場にて」、「エフゲニーとパラーシャ」、「踊りの情景」、そして最後の曲である「偉大な都市への賛歌」の4曲を選んで編曲されています。

第57回の吹奏楽コンクール(2009年/平成21年)にて、市立習志野高校が自由曲として演奏し、金賞を受賞しています。

「元老院広場」は、明るく推進力のある楽章です。

木管の可愛らしいメロディーを金管が支えます。

終盤で3拍子のワルツに変わります。

「エフゲニーとパラーシャ」は恋人である二人の愛を描くロマンチックな楽章です。

憂いを感じるエフゲニーのパートに続き、パラーシャのパートはオーボエソロがあたたかい旋律を奏でます。

恋人たちが愛を育む様子をしっとり歌い上げたいです。

「踊りの情景」は賑やかな舞曲の楽章。

バレエのシーンでも、大勢のキャストが入れ替わり立ち代わり、様々なダンスを披露します。

快活で華やいだ音楽が、速いテンポで進んでいきます。

「偉大な都市への賛歌」

主人公たちだけでなく、多くの市民の命を奪った洪水。

その悲しみを乗り越え復興したペテルブルクの力強さを讃えるような楽章です。

ゆったりとしたテンポで、最初は木管を中心に静かに優しく始まり、次第に堂々とした感動的な音楽へと進展していきます。

全体を通して、バレエ音楽らしい気品を感じる楽曲になっています。

『バレエ音楽「青銅の騎士」より』~YOUTUBEで聴ける音源~

海上自衛隊東京音楽隊

フォスターが公開している参考音源です。

説明欄に丁寧な解説が載っているので、併せてチェックしてみてください!

習志野高校吹奏楽部

2009年吹奏楽コンクールにて、編曲者である石津谷治法先生の指揮のもと、見事全国金賞をとった習志野高校の演奏です。

石津谷先生の編曲でコンクールに臨むのであれば、一度は聴いておきたい音源ですね。

『バレエ音楽「青銅の騎士」より』の音源・CDはどこで手に入る?

スパイラル・ファンタジー

2014年に発売された、東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部のアルバム。

「青銅の騎士」のほか、『華麗なる舞曲』、「モンタニャールの詩」。「中国の不思議な役人」といった有名曲が揃っています。

■収録曲
―セッションレコーディング―
[1]祝典序曲「泉より湧き出(いづ)る音楽」(福島弘和)
バレエ音楽「青銅の騎士」より(レインゴリト・グリエール/編曲:石津谷治法)
[2]元老院広場にて
[3]エフゲニーとパラーシャ
[4]踊りの情景
[5]偉大な都市への賛歌
[6]藍(石毛里佳)
[7]シテール島への船出(坂田雅弘)
バレエ音楽「シルヴィア」より(レオ・ドリーブ/編曲:小長谷宗一)
[8]狩りの女神
[9]ゆるやかなワルツ
[10]ピッツィカート
[11]バッカスの行列
[12]マーチ・エイプリル・メイ(矢部政男)
―ライブレコーディング―
[13]交響詩「モンタニャールの詩」(ヤン・ヴァン=デル=ロースト)
[14]中国の不思議な役人(バルトーク・ベーラ/編曲:齋藤淳)
[15]バレエ音楽「シルヴィア」より バッカスの行列(レオ・ドリーブ/編曲:小長谷宗一)
[16]華麗なる舞曲(クロード・トーマス・スミス)
[17]スパイラル・ファンタジー(鈴木英史)

『バレエ音楽「青銅の騎士」より』の楽譜はどこで手に入る?

フォスターミュージックでは、石津谷治法編曲の譜面をレンタル楽譜として取り扱っています。

https://www.fostermusic.jp/products/detail/3693

 

ピョートル一世の圧政については思うところもありますが、彼の作った街で生きる人たちの幸せな日々や洪水に屈しないたくましさを描いた音楽には、心が動かされます。

美しいサンクト・ペテルブルグの街並み、そこに佇む青銅の騎士像を思い浮かべながら演奏してみてくださいね。

 

参考URL:

“「青銅の騎士」を吹奏楽で!おすすめ楽譜と収録CDをご紹介”. フォスターミュージックオンラインショップ 
https://blog.fostermusic.jp/windmusic/1417

“プーシキン『青銅の騎士』あらすじと感想~ゴーゴリ・ドストエフスキーの「ペテルブルグもの」の元祖”. 【日々是読書】僧侶上田隆弘の自問自答ブログ
https://shakuryukou.com/2020/10/24/dostoyevsky161/

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