『ピータールー序曲』~吹奏楽で振り返る、痛ましい民衆弾圧事件~

『ピータールー序曲』~吹奏楽で振り返る、痛ましい民衆弾圧事件~

吹奏楽の名曲シリーズ。

今回は、マルコム・アーノルド作曲の『ピータールー序曲(Peterloo Overture)』をご紹介します。

『ピータールー序曲』はどんな曲?

作品概要

タイトル:ピータールー序曲(Peterloo Overture)

作曲者:マルコム・アーノルド(Malcolm Arnold)

編曲者:近藤久敦(Hisaatsu Kondo)

演奏時間:約9分半

出版:ブレーンミュージック (Brain Music)

※チャック・セイヤー (Chuck Sayre)編曲の楽譜もありますが、ブレーン出版社の販売ページに、

※権利出版者との合意により、日本国内ではこの版に限ってのみ演奏が許諾されています。(コーラス等の追加は出来ません)

と記載されているため、国内の演奏会やコンクールで演奏する場合はこちらの楽譜を使いましょう。

マルコム・アーノルドってどんな人?

マルコム・アーノルド(1921 – 2016)はイギリスの作曲家です。

近代イギリスを代表する作曲家の一人とされ、多くの管弦楽曲や協奏曲、そして映画音楽を生み出しました。

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団で主席トランペット奏者として活躍した経歴も持っています。

吹奏楽では、映画音楽から編曲された「第六の幸福をもたらす宿」が有名。

『ピータールー序曲』は、イギリス労働組合会議の創立100周年を記念して委嘱され、管弦楽曲として作曲されました

吹奏楽の編曲はC.セイヤー版と近藤久敦版があります。

曲の題材となった「ピータールーの虐殺」とは?

「ピータールーの虐殺」とは、1819年8月16日にイギリスのマンチェスターにある、セント・ピーターズ・フィールドという広場で起こった悲惨な事件です。

当時、物価高騰や失業率の増加で、市民からは不満の声が高まっていました。

選挙法改正を求めて集会を開いた労働者に対し、政府は軍隊を派遣、武力弾圧が行われました。

非武装の民衆が騎兵に踏みつけられ、あるいはサーベルで切り付けられ、たくさんの死傷者を出しました。

その4年前に起こったナポレオン率いるフランス軍との戦闘「ウォータールー(ワーテルロー)の戦い」と、事件の起きた広場の名前をからめて、「ピータールー事件」と呼ばれるようになりました。

2018年に映画化もされています。

GLOBE+ 『ピータールー マンチェスターの悲劇』選挙権を求めて命を落とした人がいた

『ピータールー序曲』、曲の流れとポイントは?

冒頭、あたたかい音色で優しく抒情的な旋律が奏されます。

ピアノが優しく彩る、クラリネット、サックス、ホルン、ユーフォによるメロディーは、

オーボエ、フルート、ピッコロに受け渡され、再び戻ってきます。

そこに、軍靴を模したスネアドラムの規則正しい音が、バスドラとともに、最初は遠くに、しかし次第に大きくなって迫ってきます。

管楽器によって不協和音が奏でられ、緊迫した雰囲気が高まっていきます。

そして広場に軍隊が押し入り、騒乱となっていく場面。

打楽器が行進風のリズムを刻み、金管楽器によっていかめしいメロディーが奏でられます。

激しいパーカッションソリに続き、再びいかめしいメロディーを木管が吹き、金管が荒々しく呼応します。

さし挟まれるトランペットの上昇系グリッサンドが、タガが外れた軍隊の理不尽な攻撃を思わせます。

最後にクレッシェンドしテンポをあげ、軍隊の弾圧シーンが終わります。

オフにしたスネアドラムとタムタム、ピアノと、重なり合う管楽器の音が不協和音を作って、

軍隊が去り、負傷者だけが残っている広場の重苦しい雰囲気が表現されます。

静まった場から、オーボエが、冒頭のメロディーを切々とした音色で歌い出し、木管が優しい音楽を奏でます。

犠牲者への祈りをこめた冒頭のメロディーが、いっそう痛切に胸に迫ってきます。

チャイムが鳴り響き、最後は全体で明るく壮大にフィナーレが歌いあげられ、終曲します。

『ピータールー序曲』~YOUTUBEで聴ける音源~

まず、1995年の吹奏楽コンクールで全国金をとった2団体の演奏をご紹介します。

文教大学吹奏楽部

演奏動画はこちらがオススメです。

『ピータールー序曲』の音源・CDはどこで手に入る?

アーノルド・セレブレーション

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マルコム・アーノルドの名曲たちが、吹奏楽の編曲で楽しめる一枚。

プロ楽団「東京佼成ウインドオーケストラ」による、一流の演奏をご堪能いただけます。

収録曲
1.プレリュード、シチリアーノとロンド op.80 (編曲:ジョン・P・ペインター)

  Ⅰ. プレリュード
2. Ⅱ. シチリアーノ
3. Ⅲ. ロンド
4.序曲「タモシャンター」 op.51 (編曲:ジョン・P・ペインター)
5.サクソフォン小協奏曲 (編曲:仲田 守)
  Ⅰ. アレグロ・マ・ノン・トロッポ
6. Ⅱ. アンダンテ・コン・モート
7. Ⅲ. アラ・マルシア
8.「第六の幸福をもたらす宿」~映画音楽による組曲 (編曲:瀬尾 宗利)
  Ⅰ. ロンドン・プレリュード
9. Ⅱ. ロマンティックな間奏曲
10. Ⅲ. ハッピー・エンディング
11.序曲「ピータールー」 op.97 (編曲:近藤 久敦)
12.小組曲第1番 op.53 (編曲:デニス・ブラッドワース)
   Ⅰ. プレリュード
13. Ⅱ. ダンス
14. Ⅲ. マーチ
15.バレエ「孤独」より (編曲:ジョン・P・ペインター)
    Ⅰ. サラバンド
16.  Ⅱ. ポルカ
17.行進曲「HRHケンブリッジ公」 op.60

『ピータールー序曲』の楽譜はどこで手に入る?

ブレーンのオンラインショップより近藤久敦版を購入することができます。

https://www.brain-shop.net/shop/g/gYDAA-A03/

こちらはブレーンの「ライセンス楽譜」です(定められた期間である1年間、公の場で自由に演奏できる)。

 

痛ましい事件の記憶をリアリティある音楽に起こし、感動的な楽曲に昇華した『ピータールー序曲』。

被害にあった人たちの無念を忘れないためにも、吹き継いでいきたい一曲です。

 

参考URL:

Wikipedia – ピータールー序曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BC%E5%BA%8F%E6%9B%B2

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