吹奏楽バカかく語りき

【それって何管?】吹奏楽で使う管楽器の調性まとめ【B♭?E♭?F?C?】

今回の記事は、吹奏楽で使う管楽器の調性まとめ

吹奏楽では、様々な調性の楽器が一緒に演奏しています。

さらに、同じ種類の楽器でも基音や音域が異なることが少なくありません。

自分の楽器のことはわかっていても、他の楽器が何管なのかを知っている人は少ないのではないでしょうか?

楽器の種類とそれぞれの調性について紹介していきます。

フルート

【C管】

・フルート(Flute):一般的なフルート。「コンサートフルート」とも呼ばれます。

・ピッコロ(piccolo):フルートより1オクターブ高い、高音域を担当する楽器。フルート奏者が曲中で持ち替えることもあります。今はほとんど使われないようですが、D♭管も存在するようです。

・コントラバスフルート(Contrabass flute):フルートより2オクターブ低く、伸ばすと全長2.8mにもなる巨大なフルート。頭部管は4の字に曲がっており、立って演奏します。F管も存在します。

・ダブルコントラバスフルート(Double Contrabass flute):フルートより3オクターブ下の、低音域を担当する巨大なフルート。1994年に誕生したばかりの希少な楽器です。「サブコントラバスフルート」ともいいます。

【G管】

・アルトフルート(Alto Flute):フルートより完全4度低く、低音を力強く吹くことができます。吹奏楽やオケでは出番が少ないものの、ソロやアンサンブル、またジャズやポップスなどで活躍します。

・トレブルフルート(Treble Flute):ピッコロとソプラノフルートの中間の音域を持つフルート。マイナー楽器で、スコットランド・北アイルランドのブラスバンドで用いられています。

【E♭管】

・ソプラノフルート(Soprano Flute):長さはフルートの3分の2程度。フルートの短3度上、ピッコロとフルートの中間の音色を持っていますが、滅多に見る機会はありません。F管のものもあります。

【A管】

・フルートダモーレ(Flute D’Amore):別名テナーフルート。マイナー楽器で見る機会は少ないですが、フルートとアルトフルートの中間の音域を担う楽器です。

オーボエ

【C管】

・オーボエ(Oboe):吹奏楽・オーケストラともにソロの多い花形楽器。高音域を担当します。

【A管】

・オーボエ・ダモーレ(oboe d’amore):オーボエより短3度低く、低音域はオーボエよりきれいに出ます。オーボエの仲間ですが、ベルが卵型をしているのが特徴です。

【F管】

・コール・アングレ(Cor anglais):オーボエより完全5度低い音域を担当。形はオーボエ・ダモーレに近いです。別名イングリッシュホルン、稀にアルトオーボエとも呼ばれます。

ファゴット

【C管】

・ファゴット(fagott):低~中音部を担当、音域は4オクターブ弱にもなります。英語圏ではバスーン(bassoon)と呼びます。日本ではドイツ式の楽器をファゴット、フランス式の楽器をバッソン(バソン)と呼んで区別しますが、バッソンが使われる機会は減ってきています。

クラリネット

【B♭管】

・B♭クラリネット(B♭ Clarinet):主に吹奏楽で使われるクラリネット。

・バスクラリネット(Bass Clarinet):低音域の主に伴奏を担当するクラリネット。

・コントラバスクラリネット(Contra Bass Clarinet):クラリネット属の最低音を担当するクラリネット。

【A管】

・Aクラリネット(A Clarinet):主にオーケストラで使われる、B♭管より1音低いクラリネットで、見た目はほとんど変わりません。

・バセットクラリネット(Basset Clarinet)):マニアックなクラリネットですが、A管とバセットホルンの間の音域。有名なモーツァルトのクラリネット協奏曲の原典版演奏の際に使われることでも知られています。

【E♭管】

・E♭クラリネット(E♭Clarinet):そのまま「エスクラリネット」と呼ばれる、高音域を担当するクラリネットで、吹奏楽でもオーケストラでも使われます。

・アルトクラリネット(Alto Clarinet):クラリネットとバスクラリネットの中間の音域をカバーするクラリネット。

・コントラアルトクラリネット(Contra Alto Clarinet):バスクラリネットと、コントラバスクラリネットの中間の音域をカバーする低音楽器。

【F管】

・バセットホルン(Basset horn):ホルンと名がつきますが、アルトクラリネットと近い音域を担当するれっきとしたクラリネット属。G管やD管もあるようです。

サクソフォーン(サックス)

【E♭管】

・アルトサクソフォーン(Alto Saxophone):標準的なサクソフォーン。

・バリトンサクソフォーン(Baritone Saxophone):通称「バリサク」。アルトサックスより1オクターブ低く、木管パートの低音部を担当します。

・ソプラニーノサクソフォーン(Sopranino Saxophone):アルトサックスより1オクターブ上の音域で、高い演奏技術が要求されます。

・コントラバスサクソフォーン(Contrabass Saxophone):バリサクよりさらに1オクターブ下。世界に数台しかない希少な楽器

【B♭管】

・ソプラノサクソフォーン(Soprano Saxophone):アルトサックスより完全5度高い楽器で、高音部を担当。吹奏楽での出番はそれほど多くありませんが、アンサンブルなどで活躍します。

・テナーサクソフォーン(Tenor Saxophone):アルトサックスに次いでメジャーな楽器。アルトより完全4度低い音域を持ちます。

・バスサクソフォーン(Bass Saxophone):テナーサックスより1オクターブ下。バリサクより低い音域ですが、構造は似ています。

ホルン

【F管、B♭管】

・シングルホルン(Single Horn):1つの調のみを演奏するホルン。F管B♭管、それにF管より1オクターブ上のHigh-F管があります。F管は音色が良い一方で吹くのが難しく、B♭管は演奏しやすい代わりに音色の深みに欠けるという一面も。High-F管はデスカント・ホルン(Descant Horn)とも呼ばれます。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の使っているウィンナ・ホルン(Wiener Horn)は、F管シングル・ホルンです。

・ダブルホルン(Double Horn):F管とB♭管の2つの音域を出せるホルン。現在最も一般的に使われているフルダブルホルン、補正管がついていてフルダブルより管が短く軽量なセミダブルホルンがあります。また、高音域の演奏ができる、B♭とHigh F管を組み合わせたデスカントダブルホルン(Descant Double Horn)という楽器も。

・トリプルホルン(Triple Horn):F、B♭、High-Fの3つの調性を持ち、切り替えて演奏できる楽器。幅広い音域に対応できますが、高価で重量もあるため、あまり使われていないのが現状です。

トランペット

【B♭管】

・B♭トランペット(B♭ Trumpet):最もポピュラーなトランペット。吹奏楽、ジャズなどで使われる、基本の楽器です。

・ピッコロトランペット(Piccolo Trumpet):B♭トランペットより1オクターブ高い楽器。A管もよく使われます。

・コルネット(Cornet):トランペットと同じ音域ですが、小ぶりで柔らかい音色が出る楽器。トランペット奏者が持ち替えて演奏することが多いです。

・フリューゲルホルン(Flugelhorn):トランペットより一回り大きく、温かみのある音色が特色。やはりトランペット奏者が持ち替えて演奏します。

【C管】

・Cトランペット(C Trumpet):クラシック、オーケストラではC管トランペットもよく使われます。

【E♭管】

・E♭トランペット(E♭ Trumpet):E♭管は一部のクラシック曲で使われることがあります。メジャーなのはB♭、C、E♭管ですが、それ以外にもトランペットにはほとんどの調性が存在します

トロンボーン

【B♭管】

・テナートロンボーン(tenor trombone):基本的な構造を持つ、最も一般的なトロンボーン。吹奏楽やクラシックなどで活躍する多くがこのテナートロンボーンです。

・ピッコロトロンボーン(piccolo trombone):テナートロンボーンより2オクターブ高い、マイナー楽器。

・ソプラノトロンボーン(soprano trombone):テナートロンボーンより1オクターブ高い音域を持つ楽器。やはりあまり見ることはりません。

・バストロンボーン(bass trombone):1~2個のバルブを追加し、テナートロンボーンよりもさらに低音域をカバーできるようにした楽器。

【E♭管】

・アルトトロンボーン(alto trombone):テナートロンボーンより完全4度高く、明るい音が出ますが、使用される機会は減っています。E♭管が一般的ですが、F管やD管もあるようです。

ユーフォニアム

【B♭管】

・ユーフォニアム(Euphonium):B♭管が一般的。バルブシステムは3バルブタイプ、4バルブタイプ、B♭/Fコンペンセイティング・システム付き4バルブタイプの3種に分けられます。限られたメーカーしか作っていませんが、C管も存在します。

チューバ

【B♭管】

・B♭管チューバ(B♭ Tuba):チューバ属の中で管が最も長く、太い音が出ます。吹奏楽や学校の備品として、最もメジャーな調です。

・スーザフォン(Sousaphone):アメリカの作曲家で「マーチ王」と呼ばれるジョン・フィリップ・スーザ(John Philip Sousa)によって考案された楽器E♭調やC調も稀に存在しますが、ほとんどがB♭管。

【C管】

・C管チューバ(C Tuba ):B♭管より明るい音が出ます。B♭管、C管の2つを「コントラバス・チューバ」と呼ぶことも。

【E♭管】

・E♭管チューバ(E♭Tuba):C管より小さく、金管バンドでよく使われます。

【F管】

・F管チューバ(F Tuba):チューバの中で最も管が短いです。「コントラバス・チューバ」に対し、E♭管とF管を合わせて「バス・チューバ」と呼ばれることもあります

いかがでしたか?

楽器ごとにこんなに様々な調性のものが存在しているとは、改めて吹奏楽の奥深さを感じてしまいますね!