『オセロ』~シェイクスピアの悲劇を題材にしたA.リードの吹奏楽曲~

オセロ

吹奏楽の名曲シリーズ。

今回は、アルフレッド・リード作曲の『オセロ(Othello)』をご紹介します。

『オセロ』はどんな曲?

作品概要

タイトル:オセロ(Othello)

作曲家:アルフレッド・リード (Alfred Reed)

演奏時間:約17分

グレード:3~5

出版:ハル・レナード(Hal Leonard)

シェイクスピアの四大悲劇のひとつ

楽曲の題材であり、タイトルにもなっている「オセロ」は、劇作家シェイクスピアが1602年に書いた悲劇作品。

「ハムレット」「マクベス」「リア王」とともに、シェイクスピアの四大悲劇と呼ばれているうちの一つです。

ちなみに碁石を使って遊ぶゲーム「オセロ」の由来もこの戯曲。

黒人の将軍オセロと白人の妻デスデモーナを中心に敵味方がめまぐるしく寝返るこの物語のようなゲームだ」として名づけられたそうです。

「オセロ」の物語のあらすじ

ヴェニスの軍人である黒人オセローは、白人の妻デズデモーナと駆け落ちして結婚しました。

オセローの部下のイアーゴーは、自分を昇進させなかったオセローを憎み、戦闘経験がないのに自分をさしおいて昇進したキャシオーを利用して復讐しようとたくらみます。

イアーゴーはデズデモーナとキャシオーが密通しているという作り話をオセロに告げ、デズデモーナのハンカチを盗んでキャシオーの部屋に置くなどして、嘘を信じ込ませます。

激しい嫉妬に苦しんだオセローは、デズデモーナを殺してしまいます。

イアーゴーの妻の証言によってイアーゴーの嘘は明るみに出ますが、オセローは絶望して自らの命を絶つのでした。

作曲の経緯

作曲者は吹奏楽界の巨匠、アルフレッド・リード。

このブログでも幾度となく取り上げてきました。

『アルメニアン・ダンス パート1』~吹奏楽を代表する名曲~

2017.10.25

リードはマイアミ大学音楽学校で教授をしていました。

「オセロ」の上演を企画した大学敷地内のジェリー・ハーマン・リング劇場から委嘱を受けたリードは、その舞台音楽として、16人の金管楽器奏者と3人の打楽器奏者で演奏される14曲を作曲しました(1974年)。

14曲のうちから以下の5曲を選び、吹奏楽組曲として編曲されたものが、現在の吹奏楽曲『オセロ』になっています。

I.前奏曲(ヴェニス)
II.朝の音楽(キプロス)
III.オセロとデスデモーナ
IV .延臣たちの入場
V.デスデモーナの死

『オセロ』、曲の流れとポイントは?

1楽章「前奏曲(ヴェニス)」(演奏時間 約2:30)

「戦いの習慣は石を枕に鋼の床となり、戦場こそは私にとってこよなき寝床です」

これは1幕第3場でオセローがヴェニスの公爵に行った演説の中の言葉ですが、

この言葉が象徴するように、勇猛果敢なオセローの性格やその戦いぶりを表すような楽章になっています。

激しく緊張感のある鋭い金管から始まり、ゆったりとした旋律が挿入され、ファンファーレとともに勇壮な音楽に変わります。

しかし終曲間近の荒々しい雰囲気は、この先の悲劇までも予感させます。

2楽章「朝の音楽(キプロス)」(約1:30)

キャシオーが旅回りの楽団に頼んで、オセロー夫婦の窓の下で音楽を演奏させ、将軍のご機嫌をとろうとします。

明るく爽やかな楽章です。

短い曲ですが、荘厳な第1楽章や豊潤で深遠な第3楽章とのコントラストを生み出す狙いがあり、少人数で奏されます。

3楽章「オセロとデズデモーナ」(約4:00)

ゆっくりとしたテンポで、二人の深い愛が描かれる楽章。

ロマンチックな中に痛切な悲哀が見え隠れする、甘やかなだけではない音楽です。

美しく優しい木管の旋律、切ないホルンのソロ、終盤は情熱的に盛り上がっていき、静かに終わります。

メロディーと対旋律の掛け合いが、二人の対話や心を通わせる様子を表しているかのようです。

4楽章「延臣たちの入場」(約3:00)

輝かしくかっこいい旋律が続く4楽章。

嫉妬に狂ったオセローが、オセローを英雄と称えに来た人々の前で妻のデズデモーナを殴ります。

面食らう人々に対し、イアーゴーは「見よ、あれがヴェニスの獅子か!」と言ってオセローをあざ笑うのです。

堂々としたファンファーレ、ゆったりとした行進曲風のテーマ、後半の煌びやかな山場など、華やかで荘厳な雰囲気に満ちた楽章です。

5楽章「デズデモーナの死」(約4:00)

物語のクライマックス、やりきれない悲劇の結末を表現した重く悲しい音楽です。

イアーゴーの悪事は明らかになったものの、自分がありもしない嘘で踊らされ、愛する妻を殺してしまったという事実と向き合うことになったオセローの絶望ははかりしれず、デズデモーナにキスをしながら後を追うように命を絶ちます。

全体に陰鬱な雰囲気の中でも、始まりと半ばで緊張感の高まる箇所があり、オスローの感情の高まりを感じます。

この楽章はこれまでの楽章の総括になっていて、ほかの楽章の旋律が登場しています。

 

コンクールの自由曲では1、3、4楽章の構成で演奏されることが多いようです。

実際にその3つの楽章での楽譜も販売されています。

オセロより 1.3.4楽章(リード)【小編成用】(最小21人から演奏可能)(arr.下田和輝) 吹奏楽譜

『オセロ』~YOUTUBEで聴ける音源~

龍谷大学吹奏楽部

京都の強豪校、龍谷大学の重厚感ある演奏。

トランペットやホルンなど、ソロプレイヤーのレベルの高さもうかがえます。

天理高等学校吹奏楽部(1981年コンクール)

コンクールでのオセロブームの火付け役となった天理高校の演奏。

この後オセロに取り組んだ数々の団体のお手本とされたであろう名演です。

威厳と風格を感じるオセロです。

同じく全国金受賞の1986年野庭高校、1987年札幌白石高校の演奏ともぜひ聞き比べてみてくださいね。

1997年金賞の大曲吹奏楽団の演奏も素敵です!

『オセロ』の音源・CDはどこで手に入る?

オセロ/吹奏楽のためのカプリス

東京佼成ウインドオーケストラの定期演奏会のプログラムから、吹奏楽オリジナル作品を集めた1枚。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮などを務める金聖響が指揮を振った2012年、2013年の定期演奏会での演奏です。

■収録曲
1.ラプソディック・セレブレーション(ロバート・シェルドン)
2~6.オセロ(アルフレッド・リード)
7.my butterflies for wind orchestra(藤倉大)
 [東京佼成ウインドオーケストラ・デュポール大学共同委嘱作品 日本初演]
8.吹奏楽のためのカプリス(2005年改訂版)(保科洋)
9.フェスティヴァル・ヴァリエーションズ(クロード・T. スミス)
10.アメリカン・エレジー(フランク・ティケリ)
11~15.アルメニアン・ダンス パートI(アルフレッド・リード)

『オセロ』の楽譜はどこで手に入る?

各出版社のほか、楽天市場でも購入することができます。

 

数多あるリード作品の中でも最高傑作とも言われる吹奏楽曲『オセロ』。

これからもたくさんの楽団に演奏されるでしょうし、コンクールからも新たな名演が生まれるのが楽しみです。

 

参考URL:

橋本音源堂 - オセロ-シェイクスピアに基づく5つの場面による交響的描写

note ウインドオーケストラオリジン - ざっくり解説:オセロ

A Cup of Coffee ー Othello Contents

オセロ公式サイト - オセロ誕生の秘密

文学ブログ - シェイクスピア『オセロー』の登場人物、詳しいあらすじ、感想