吹奏楽コンクール伝説の名演シリーズ。
今回は第31回(1983年)全日本吹奏楽コンクール全国大会での、神奈川県立野庭高校の自由曲、アルフレッド・リード作曲『アルメニアン・ダンス パート1』です。
指揮は、中澤忠雄先生です。
野庭高校吹奏楽部とは
80年代~90年代の吹奏楽シーンを盛り上げた伝説の吹奏楽部の一つ、神奈川県立野庭高校吹奏楽部。
学校名の読み方は、「野庭(のば)」。
神奈川県の横浜市にあった学校ですが、現在は2003年に、神奈川県立横浜日野高校と合併し、神奈川県立横浜南陵高校となっています。
近年2016年にTBS日曜劇場『仰げば尊し』で、野庭高校吹奏楽部をモデルとしたドラマが放映され話題となり、懐かしく感じた吹奏楽ファンも多いことでしょう。
ドラマの主人公のモデルとなったのが、中澤忠雄先生。
名門、天理高校吹奏楽部出身で、東京芸大へ進み、プロのチューバ奏者として活躍。
自動車事故の後遺症で、オーケストラを引退した後は、音楽教室を開いていましたが、知り合いの楽器屋さんから野庭高校吹奏楽部の練習を見て欲しいと頼まれたことが、きっかけで吹奏楽部の指導者になられたそうで、このエピソードはドラマでも再現されています。
就任一年目で、関東大会にまで導き、その翌年は全国大会へ初出場を果たしますが、その時の伝説の名演が今回する「アルメニアン・ダンス パート1」です。
野庭高校はその後、黄金期を迎え、全国大会に8回出場、うち金賞は6回受賞という目覚ましい実績を残しました。
聴いた人の心を震わせる伝説の名演『アルメニアン・ダンス パート1』(83年)
それでは、演奏をご紹介します!
野庭高校の演奏の魅力は、なんといっても溢れ出る情熱にあると思っています。
全国大会にでてくるような学校は例外なく全てが上手い(巧い)学校なわけですが、その中でも野庭高校は、奏者の熱さが伝わってくる演奏だと感じます。
それこそ、上手い演奏が聴きたければ、プロの演奏を聴けばいいという極論もあるくらいですが(笑)、アマチュアの吹奏楽コンクールの演奏が人気を誇るのは野庭高校のような演奏をする学校があるからだと思います。
「情熱」とか「熱さ」って曖昧じゃない?って、自分で言いながらも思うわけですが(笑)、あえて具体的な言葉にするとすれば、フレーズや「歌い」の一体感、メリハリのあるダイナミクス、高速テンポでのなだれ込み感、でしょうか。
大人がやると、大げさでちょっとクサい表現も高校生の演奏だと、なぜか心にグッときてしまいます。
この野庭高校の演奏の、ラストのSubPからのクレッシェンド、楽譜の指示にはないわけですが、ここ大好きです。真似した学校、団体も多いのでは!?笑
また、冷静に考えると「こんなテンポじゃ踊れないっす(笑)」という、野庭高校の高速演奏は、その後の『アルメニアン・ダンス パート1』演奏の一つのモデルになったのではないでしょうか。
吹奏楽の超人気曲でもある『アルメニアン・ダンス パート1』を熱演した、野庭高校の演奏は、日本の吹奏楽史を語る上で、外せない名演だと思います。
野庭高校の演奏CD・DVDはどこで手に入る?
吹奏楽の伝説「レジェンダリー」シリーズで、野庭高校のCDが発売されています。
今回紹介した『アルメニアン・ダンス パート1』だけでなく、同じくリードの『ハムレットへの音楽』・『オセロ』や、レスピーギの『シバの女王ベルキス』・コダーイの『くじゃく』など、野庭高校を代表する名演が詰まった至極の1枚です。
そんなわけで、野庭高校『アルメニアン・ダンス パート1』(83年)を紹介してきました。
野庭高校の演奏を聴いた若い世代のみなさんが、熱く、心に響く演奏をこれからもたくさん生み出してくれたら嬉しいですね(・∀・)!