吹奏楽において「技術的に最も難しい曲」と評する人も多い『華麗なる舞曲(Danse Folâtre)』。今回は、長年愛される吹奏楽の名曲に迫ります。
『華麗なる舞曲』はどんな曲?
作曲者はクロード・トーマス・スミス(Claude Thomas Smith)。吹奏楽民の間では、同じく吹奏楽の人気作曲家であるロバート・W・スミス(Robert W. Smith)と区別して「Cスミス」「CTスミス」なんて呼ばれていたりします。
『華麗なる舞曲』はアメリカ吹奏楽界において、最高の実力ともいわれるアメリカ空軍軍楽隊のために作曲された曲です。
またそのアメリカ空軍軍楽隊演奏能力の高さに挑戦した作品とも言われ、作曲当初から「その難易度」には注目が集まっていた曲と言えます。
近年では、次々に難易度の高い吹奏楽曲が生まれており「最難曲」と言い切ってしまうのも乱暴ですが、例えば変拍子を多用したり、不協和音が並ぶような変化球タイプの難曲ではなく、キャッチーなメロディーの「王道の吹奏楽曲」であるからこそ、『華麗なる舞曲』の難しさが注目されるのではないかと思っています。
『華麗なる舞曲』の難しさのポイントとは!?
Cスミスの曲全般に言えることですが、金管(特にホルン・トランペット)にはハイトーンを、木管には高速パッセージを求める傾向にあり、この『華麗なる舞曲』ももちろん例外ではなく、その傾向が最も顕著に表れる曲ともいえます。
曲冒頭から金管はパワー全開、木管は指回し全開です。笑
その後テーマが様々な楽器によって繰り返されていきますが、奏者視点でいうと前半から木管金管ともに出てくる「タンタカタカタカ・タンタカタカタカ」というタンギングが地味につらい(笑)
リード楽器のシングルタンギングだと「タンタタタタタタ・タンタタタタタタ」と吹くことになるので、中々に大変です。『華麗なる舞曲』を演奏したことのある方なら、共感いただけるではないでしょうか。笑
中間部は、B♭クラリネットのゆったりとしたソロで幕開け。その後、木管のソロ楽器による『華麗なる舞曲』のテーマパッセージのリレーが、オーボエ⇒B♭クラリネット⇒アルトサックス⇒フルートと続きます。
特にフルートのソロは長く、中々にプレッシャーのかかるソロと言えます。
その後トゥッティ からのファッゴットソロ、そして、この曲最大の聴きどころ、見どころの一つでもある、ピッコロトランペットのソロへ突入。
このハイトーンが決まると、バンドも観客もテンション爆上がり。
その後、フィナーレに向かうかと思わせる雰囲気が一瞬垣間見えますが、実はまだまだ数々の難所が待ち受けます(笑)
まずはクラリネットから始まる木管連符のフーガ的展開。そして、その後トロンボーン、ホルン、トランペットが順々に、重なって入ってくる(個人的にはここが一番好きw)、もう鳥肌がたつくらいかっこいいです。
そして、冒頭のフレーズに戻ってフィナーレへ。
しかし最後の最後まで『華麗なる舞曲』は楽をさせてくれません(笑)Cスミスと言えば「ホルン」。そのホルンパートに最後かつ最大の難所が訪れます。しかもここが成功するか否かが曲の出来栄えの印象を最後の最後で決めてしまうという。笑
ここが決まれば、あとはトロンボーンのグリッサンドにいざなわれ、バンド全体でフィナーレへなだれ込み。後に待つのは観客の大喝采のみ。
そんな難曲を演奏している高校生達がいる!?~YOUTUBEで聴ける音源~
洛南高校は1900年代と古い演奏ですが、もはや伝説として語り継がれている演奏と言えます。関西、そして全国屈指の進学校でもある洛南高校の吹奏楽部。全国の吹奏楽民の憧れの存在ですよね。(現在はYOUTUBEでは聴けなくなっています)
そして、その洛南の伝説を思い出させたのが、精華女子高校。近年の吹奏楽界を席巻する超強豪校。女子高とは思えないパワフルな演奏でCTスミスの数々の名曲で全国大会を沸かせました。
『華麗なる舞曲』の音源・CDはどこで手に入る?
上でも紹介した精華女子の演奏CDはこちら。『華麗なる舞曲』だけでなく全ての曲が圧巻。吹奏楽ファンなら絶対にもっておくべき1枚です。
プロの音源としては、東京佼成吹奏楽団のものがメジャー。amazonですぐ手に入ります。youtubeにはない音源なのでオススメです。
また、amazonプライムで1曲のみ200円で聴くこともできます。これはオトク。
『華麗なる舞曲』の楽譜はどこで手に入る?
ミュージックエイトなどの出版社のほか、楽天市場でも購入することができます。
さて、そんなわけで、『華麗なる舞曲』を紹介してきました。
吹奏楽民なら、死ぬまでに一度は演奏してみたい1曲、まだ演奏したことのない方は是非挑戦してみてください!
※『華麗なる舞曲』もランクイン!吹奏楽名曲ランキングベスト10も是非ご覧ください(・∀・)!