華やかな音色で吹奏楽に彩を加える、トランペット。
音域は広く、吹奏楽はもちろん、オーケストラやジャズでも活躍します。
トランペットは、吹奏楽で活躍する管楽器の中では比較的歴史が古く、紆余曲折を経て現在の形に落ち着きました。
今回は、そんなトランペットの歴史を調べてみました。
トランペットの誕生
トランペットの歴史は遥か3千年前にさかのぼります。
最も原始的なトランペットは、木や茎で作られた筒状のまっすぐな楽器でした。
紀元前2000年のエジプト壁画にはすでにトランペットが描かれていることが発見されています。
当時は木材以外にも様々な材質で作られており、音孔はまだ無かったため、出せる音はごく限られていました。
材質は金、銀、青銅のほか、土器、貝、象牙、木、樹皮、竹、瓢箪などで、形や長さも様々であり、初期のトランペットには音孔やバルブ機構などはなかったので、出せる音は倍音のみに限られていた。
引用元:Wikipedia
その他にも、動物の骨や人骨でも作られていたとか…。
その後、世界中のあらゆる大陸で呪術や宗教的な儀式の際に使われてきました。
また、エジプト王朝時代には軍用としてのラッパがすでにありました。
ギリシャ・ローマ時代には、管の全長が1mを超えるものが現れ、管は動物の角と金属がつなぎ合わされていました。
そしてマウスピースもカップ型のものが現れます。
軍の行進の合図や信号に丁度良い楽器として、トランペットは重宝されました。
その後も、ヨーロッパ王朝では軍楽器としてのトランペットの使用が定番となっていきます。
しかし、このころはまだ現在のように音階を奏でることはできず、ピストンやバルブは付いていませんでした。
軍用楽器から合奏用楽器へ
軍用楽器としての扱いが長く続いたトランペットですが、中世に入り、徐々に音楽の合奏用として用いられるようになっていきます。
中世以前では倍音奏法しかできなかったトランペットですが、10世紀のヨーロッパ各地では倍音以外の音も出せるものが出現してきます。
14世紀には、管全てが金属製のトランペットが開発されます。
現在のトランペットの原型とも言えるS字形の管を持つ楽器は、1400年にその資料が残っているとされています。
16世紀に入り、宮廷のトランペット楽団が各音域に分かれ、音楽的に合奏されるようになっていきました。
バロック時代の封建社会の中、トランペット奏者達はギルドという組織の中に入り、師匠から弟子へと奏法が伝えられていきました。
高音域を自在に操る、「クラリーノ奏法」と呼ばれるものです。
ギルド内でのみ伝承される非常に高度な技術であったため、ギルドを抱えている権力者たちはトランペット奏者の数や質で力を見せつけ合っていたとか…。
トランペットが純粋な合奏用として使われるようになるのは17世紀ごろです。
しかし、まだ楽器としての機能には限界があり、奏者の技術にゆだねられている部分が多く残っていました。
現在のトランペットへ
現在のトランペットのほぼ原形が出来上がったのは、19世紀に入ってからと言われています。
1839年には、パリのペルネが3本ピストンのトランペットを発明。
以前のトランペットは「ナチュラルトランペット」と呼ばれ、音を変えるピストンやバルブが存在しませんでしたが、この発明によって音域が飛躍的に広がりました。
トランペットの歴史をまとめてみました。
様々な歴史があり、現在のトランペットができたかと思うと感慨深いものがありますね。